管理職のサポートが盲点

働き方改革を実施するうえでのコツはありますか。

樋口:働き方改革で重要なのは、経営者、管理職、一般社員それぞれに対するアプローチです。経営者は改革の旗振り役で、重要性を主張し続ける必要があります。一般社員は、働き方の違いを認め、柔軟な働き方を成果につなげていくという意識改革が不可欠です。

 大切なのが管理職のサポートです。働き方改革によって生産性を上げた管理職を評価する仕組みを作る必要があります。部下の休暇取得率や残業時間などを、評価項目に入れます。管理職は部下に、「定時で帰宅してもマイナス評価にならない」「成果を評価する」と明確に伝えることが大切です。

山本:管理職は、部下の多様な働き方を前提とした管理スキルを身につける必要があります。ただし実際は、部下を管理しつつ最前線でも働く「プレイングマネージャー」が多いです。忙しさに追われ、働き方改革どころではないのが現状です。

樋口:管理職向けの研修を実施している企業は多いと思いますが、不十分なケースが多いです。柔軟な働き方をする部下を管理するという前提がなく、結局、経験と勘に頼る管理になっている気がします。日本人はアウトプットの評価が苦手だといわれています。勤続年数や労働時間という物差しだけでなく、自信を持って成果を評価する教育も必要です。

山本:ただこれも、管理職自身が、働き方改革の必要性や効果を実感できることが大切です。社員や管理職の現状やニーズを汲み取った上での取り組みでないと失敗します。

慶應義塾大学商学部教授の樋口美雄氏(左)。グーグル ブランド マーケティング マネージャーの山本裕介氏(右)