インドでは化石燃料の消費も10年で1.5倍増のペースで拡大している。石油精製設備や火力発電所、製鉄所などでも既存設備のエネルギー効率改善に役立つIoTシステムなどの導入を提案する。IoTによるプラントの運用改善は、富士電機や横河電機、火力発電の効率改善は東京電力フュエル&パワーが提案する。


 これまでも、日本は企業の技術を生かして途上国の温室効果ガス削減に貢献する「二国間クレジット制度(JCM)」を推進してきた。インドネシアやタイ、ベトナムなど途上国を舞台に、省エネや再エネ導入プロジェクトが進められてきた。JCMでは、日本が投じた資金支援額に応じて「排出枠」を獲得している。

途上国に「収益改善」のメリットを実感させる

 過去のJCMなどではばく大な初期投資を伴う「機器売り」事業が大半だった。今回は機器売りだけでなく、途上国の既存設備も生かす。プロジェクトの実施に伴う初期投資を抑えながら、日本が得意とする運用や保守によるシステム・サービス提案によって、省エネや再エネ活用、系統安定の技術移転を目指す。

 インド企業にとっては、追加投資を抑えながら事業収益が改善できることを実感できるメリットがある。日本企業も、プロジェクトを通じて途上国で実績を上げれば、技術の優位性をアピールできる。その地での新たなビジネス展開にもつなげる。

 インドからは電力省などの関連省庁、電力や石油、鉄鋼、セメントなどの大手企業が参加する。今後、東南アジアなどで協力国を増やす。経産省によれば、今回の取り組みでは途上国での対策推進を優先し、必ずしもJCM事業化や排出枠の獲得にこだわらない。国際機関の協力を得ながら、簡易で適切な削減量の把握方法も検討する。日本のパリ協定への貢献の第一歩となる。

 JCM事業は経産省や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、環境省が推進してきた。2010年、国が企業に委託する実現可能性調査が始まった。ところが、その削減効果は限られていた。今年5月までに登録されたJCM事業は政府全体で18件。事業ごとの削減量は年間で数十tから数万t規模だ。

 パリ協定が求める世界の低炭素化には、さらに規模の大きな削減が必要だ。今後は、額が限られる政府のJCM予算に限定せず、民間企業が政府開発援助(ODA)や国際協力銀行など政府資金、世界銀行やアジア開発銀行、緑の気候基金(GCF)など国際資金を活用して事業を展開する中で、低炭素技術が途上国に移転されることを促す方が効果的といえる。

 途上国に対する低炭素技術の移転や普及に日本は長年、腐心してきた。とはいえ、削減効果や、技術を有する産業界の利益に、必ずしも結び付かなかった面もある。今度こそ、実のある低炭素技術移転の仕組みを確立できるか。日本の「本気度」が試されている。