楽しくなければ人は動かない
環境先進都市の実現に向けてまずはLED化から取り組む。全般的に環境政策を進めていく上で何がポイントになりますか。
小池:環境政策で何が一番効果があるかというと、規制なんです。それから税。人の行動パターンを変えていく一番強力なツールですが、これらは言ってみれば(イソップ童話「北風と太陽」に登場する)「北風」です。しかし、私はいつも「太陽」でいきたい。皆がハッピーに、楽しくなれることが大切です。やはり、自分にとってプラスアルファのメリットがないと誰も動きませんからね。
都知事選挙で起きた(緑色のものを身に付けて街頭演説を聴きにくる)「百合子グリーン」のムーブメントも、皆が楽しんでやっていましたよね。何でも締め付けるのではなく、楽しく、自分も参加しているという意識を持てるようなことをやりたい。個人単位では小さな話かもしれませんが、東京全体となれば効果はばかになりません。
CO2排出量は、経済が不調になったら減るんです。けれど、それでは不健全。だから、環境対策を成長戦略と位置付けて、省エネ器具などが企業や家庭に広がる流れを作りたい。イノベーションとそれを促すための制度、意識改革の3点セットを頭に入れながら進めていきます。
小池さんは、期日を決めて取り組むことが重要だとおっしゃっています。環境政策では、いつまでにどうする計画ですか。
小池:ロードマップはこれから精査しますが、大事なのはバックキャスティングで考えることです。環境対策は予防的措置という位置付けで、今、対策を実施しなければ自然災害の拡大などによって、何もしなかった場合より被害が大きくなる。その経済損失などを示した「気候変動の経済学(スターン・レビュー)」(2006年10月発表)もバックキャスティングの考え方を基本にしています。
東京は、2030年までに温室効果ガス排出量を2000年比30%削減する目標を設定しました。2030年までに2013年比26%(2000年比25%)削減するという日本政府の目標を上回るより野心的な目標ですが、これを今やろうとすると卒倒しますよね。しかし、2030年から遡って現在どうするかというふうにかみ砕いていくことで道筋が見えてくる。
このほか、気候変動対策に取り組む先進都市が結成した「C40」というグループにも参加しています。その中で東京は主要プレーヤーとして、例えばアンヌ・イダルゴ市長が率いるパリなどと切磋琢磨しています。高い目標を掲げ、高い実績を出していきたいですね。
記事掲載後に発言内容に誤りがあったと連絡を受け、2ページの発言上から9~10行目、「ボリス・ジョンソン前市長は、白熱電球を2個持ってきた人にLED電球を1個あげる」は、「ケン・リビングストン元市長は、白熱電球を持ってきた人に電球形蛍光灯をあげる」に修正しました。 [2016/08/25 18:20]
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