最近になって、運用・保守サービスが太陽光パネルメーカーらの注目を集めている理由は大きく3つある。

 まず、設備の故障や天災・人災による破損などによって発電量が低下するという認識が設備の所有者に浸透してきたことが挙げられる。かつてメンテナンスフリーといわれた太陽光発電設備だが、電力会社に売電している場合、設置しっ放しでは収益低下を招きかねない。

 2つ目は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り価格低下である。2012年7月に制度を開始した時点で1kWh当たり40円(非住宅・10kW以上、税別)だった太陽光発電電力の買い取り価格は、今年度に同24円(同)になり4割減った。買い取り価格が下がったことで、効率良く運用する重要性が増している。

 3つ目の理由が、再生可能エネルギー特措法の改正だ。FITに基づいて発電事業の認定を受ける要件に、設備を適切に点検・保守することが加わった。つまり、運用・保守を外部に委託するか、監視システムを導入するなどして自前で仕組みを構築しなければ、認定を受けられなくなる可能性が高い。法律の要求事項となれば、発電事業者が運用・保守サービスを利用する大きな動機付けになる。

 こうした追い風が吹く太陽光発電設備の運用・保守サービスのなかでも、特に狙い目なのが低圧の設備だ。低圧の設備では運用・保守体制が整っていないケースが多い。経済産業省が今年2月に公表した調査によると、3カ月超にわたって発電が停止していた設備が154件あったうち約9割が低圧の設備だった。発電が停止していた理由の約8割を、設備の損壊や不具合が占めており、設備を監視せずに放置している実態が浮き彫りになった。

 例えば、10kWの太陽光発電設備を設置していたとすると、標準的な設備で1年間に1万kWh発電するとされるので、3カ月稼働していなければ2500kWh分が売れないことになる。買い取り価格を1kWh当たり24円で計算すると損失額は6万円だ。設備を監視して故障を未然に防ぐことができれば、売電の機会損失を減らせる。京セラは、「集合住宅に設置された低圧の太陽光発電設備が主なターゲット」(戸成氏)とし、低圧設備の需要を開拓する考えだ。

羽根の角度を変えるだけで100万円の収入増も

 風力発電でも、設備の運用・保守に商機を見いだす企業がある。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、その一社だ。世界で約2万5000基の風力発電設備の納入実績を持つ同社は、IoTを活用した設備の遠隔監視サービスを展開する。風車に搭載したセンサーで加速度や振動などのデータを収集し、故障の予兆を検知。素早く修理・交換できる体制を整えることで、故障による稼働停止時間を最小化する。

米GEは納入した風力発電設備を遠隔から常時監視する。写真は米ニューヨークにある監視センター(上)。青森県六ヶ所村にあるウインドファーム(下)

 それだけではない。通常運転時の発電量を増やすことも可能だ。「風の状況は風車を建てた位置で異なり、それは運用を始めてから分かる」(GE Renewable Energyシニアサービスマネージャーの瀬戸英人氏)。GEは、風の速さなどに応じて最も効率良く発電するように羽根の角度をソフトを使って調節する。それだけで発電量が2~5%程度増えるという。風車が何本も建っているウインドファームの場合、前に建つ風車の影響などを考慮して運転を最適化し、発電量を向上させる。羽根を制御するソフトの導入にかかる初期費用は20万~25万円。導入後は、収入増の半分をGEに支払う。例えば1500kWの設備の場合、立地条件などによって変わるが年間100万円程度の収入増が期待できるという。

 日本国内にあるGE製風車は約300基。来年3月までに、約150基に羽根の制御ソフトを導入したい考えだ。

 設備機器の単品売りから脱却しようという動きは、再エネビジネスにも広がってきた。顧客である発電事業者の収支改善に貢献できるか、メーカーは運用・保守技術やノウハウを問われている。