ちよだ製作所は2004年、バイオマスからメタンガスを生成するメタン発酵プラントの販売を始めた。技術が評価され、国や香川県、産業技術総合研究所などと協力して食品廃棄物由来のバイオガスを発電に使う技術や、廃棄うどんを使うバイオエタノール生成技術の開発に取り組んだ。

 2011年からは廃棄うどんのリサイクルを促す県や市、地元NPOらと協力する「うどんまるごと循環コンソーシアム」に参加している。

 ちよだ製作所 技術開発営業の尾嵜(おざき)哲夫氏は、「自社が販売する小規模のメタン発酵・発電プラントを販促するため、その実例としてうどん発電を実施している」と狙いを話す。

 食品リサイクルが求められる食品メーカーや飲食店を潜在顧客として想定し、1日の処理量として他社がほとんど参入しない3tや5t、10tの小規模プラントを提案している。コストを抑えるため、発酵槽などの設備は自製した。国内で広く売られる汎用的な部材を使うため、設備導入費や保守費を安く抑えられる。

 試算では毎日3tの食品廃棄物を処理して日量360立方メートルのメタンガスを発生させると、FITの活用により年間約700万円の売電収入を得られる。廃棄物処理費も不要になるため、顧客の投資回収年数は8年程度が見込まれる。処理規模が大きくなるほど投資回収は早まるという。

凍り豆腐・油揚げ工場では排水で発電

 バイオガス発電に使えるのは、固形分の多い廃棄物だけではない。メタン発酵しやすい条件がそろえば、工場などからの排水も使える。

 凍り豆腐(高野豆腐)や油揚げなどを製造するみすずコーポレーション(長野市)は、排水の処理にメタンガス発電を組み合わせている。

 凍り豆腐や油揚げは、豆腐を加工して作られる。大豆から作った豆乳ににがりを混ぜ、凝固した豆腐を取り出した後には、大豆成分や豆腐のかけらなどが混じる温水が残る。毎日6500tにもなる温排水を、メタン菌の働きやすい30℃以上の温度に冷やし、排水中の有機成分を分解するメタン発酵により、排水を放出できるように浄化する。

■ 豆腐の「温排水」を処理、発電も行う

 みすずコーポは1992年に排水処理の目的でメタン発酵槽を導入した。メタン発酵により副生物としてメタンガスが生じる。同社でリサイクル管理部部長とロス削減対策部部長を務める松本立旨氏は「排水に含まれる成分とその濃度、排水の温度から、微生物の働きを生かすメタン発酵による浄化技術が適していた」と話す。

 メタンガスの使い道があるかどうかも、導入を検討する際のポイントになる。同社はFITの施行前はメタンガスをボイラー燃料に使い、豆乳の製造や、油揚げ製造工程の油の加温、加熱殺菌などに使った。2013年かにバイオガスエンジン発電機を導入してからは発電燃料にも使うようにした。FITの活用により中部電力に売電している。

 現在、出力合計275kWになる11基の発電機が稼働している。年間発電量は150万~160万kWh規模で年間売電収入は6000万円程度となる。現在は1日に約3500立方メートルのメタンガスが生成されている。

 松本部長は、「工場からの排水や廃棄物をただ排出するのではなく、リサイクルして発電やボイラー燃料として使い尽くせば、資源の有効活用になり、コスト削減にもなる。CO2を排出しない再エネの売電は、地域社会への貢献になる」と話す。

 大量に発生する食品ロスへの関心が高まっている。昨年は、食品廃棄物の不適正処理事件が世間を騒がせた。廃棄物の有効活用や適正処理が社会課題として認識され始めた今、コストメリットの高いバイオガス発電が、食品メーカーや飲食店の注目を集めそうだ。