霧島酒造では、工場で発生するほぼすべてのイモくずや焼酎かすをメタンガスにリサイクルする。かつては、製造工程で発生する焼酎かすを畑にまき、肥料として再利用していた。しかし2003年の廃棄物処理法改正により、焼酎かすを農地にまくと不法投棄と見なされるようになった。大量の焼酎かすを、外部委託しようにもこれだけの規模を受け入れられる産廃処理業者はなかった。

 霧島酒造は改正をきっかけに焼酎かすの処理を始めた。2006年には毎日400tの残さを処理できる発酵槽を導入し、リサイクル事業を始めた。2011年には800t規模に拡大し、総額で約50億円の投資となった。当初は発電機はなく、発生したバイオガスはボイラー燃料にして熱を作り、蒸留や汚泥の乾燥に使った。

 FIT施行後の2014年には13億5000万円を投じて3基で合計出力1905kWとなるバイオガスエンジン発電機を導入した。発酵槽などは設置済みだったため7~8年程度での投資回収を見込む。ただし、ガスエンジンの耐用年数が10年程度とみられ、更新が必要になる可能性がある。

 2000年代にイモ焼酎の人気が高まったことで、霧島酒造は生産規模を拡大してきた。同社生産本部グリーンエネルギー部の田原秀隆部長は、「焼酎製造事業の拡大に伴い、廃棄物の発生量も日々増大していた。発電を含むリサイクル工程が止まると、焼酎の生産工程も止めざるを得ない。事業拡大のために、廃棄物を適正処理できるリサイクルと発電が欠かせなかった」と話す。

“うどん発電”が生まれた事情

 霧島酒造は廃棄物の発生量が多いのが特徴だ。しかし小規模でも、バイオガス発電で一石三鳥を狙える。

 讃岐うどんで注目される香川県。高松市の建設機械メーカー、ちよだ製作所は1日当たりの廃棄物処理量を数tに抑えたバイオガス発電プラントを開発、販売している。

 香川県にはうどんを出す店が800軒以上あるという。その多くで、客を待たせずにゆでたてを提供するため、ゆで上げから30~40分経ったうどんが廃棄されている。その量は年間推計6000tに達する(うどんまるごと循環コンソーシアムの推計)。

 ちよだ製作所の敷地の一角では、地域のうどん店などから集めた食品廃棄物を使う発電プラントが稼働している。うどんや天ぷら、おにぎり、ネギなどの野菜、肉、近隣にある食品工場から出た食品残さも使う。

 地域の運搬収集業者が飲食店や食品工場を回って収集し、ちよだ製作所は毎日最大3tを受け入れる。発酵しやすくするため廃棄物を細かく処理した後、総量で6t程度になるまで地下水を投入して発酵槽に投じる。37℃に保った槽内で、微生物の働きで30~35日程度をかけてメタンガスを生成する。

 毎日3tの廃棄物を受け入れた場合、発生するメタンガスは1日約360立方メートル。出力25kWのバイオガスコージェネレーション(熱電併給)システムで発電し、FITを活用して四国電力に売る。発電量は1日約600kWh、年間では約18万kWhになる。コージェネの排熱は発酵槽や前処理工程の加温に使う。

 槽内には窒素やカリウムなどの栄養が豊富な汚泥と消化液が残る。液体肥料として販売する他、不要な水分は浄化して排水する。

■ 飲食店などの廃棄物を使う「うどん発電」
街のうどん店や食品工場などから排出された食品の残さ(左)を処理した後、メタン発酵槽(右)に投入する。発酵槽はちよだ製作所が設計、建設を手がける