販売拡大がブランド強化に
今年は、サントリーの強さを改めて証明した年となった。
同社ブランドは、主力商品「天然水」の販売量向上とともに認知が広がっている。天然水シリーズとして2013年に「スパークリング」と「スパークリングレモン」、2014年に「朝摘みオレンジ」、2015年に「ヨーグリーナ」と、次々と新商品を投入。今年4月には「PREMIUM MORNING TEA レモン」を投入した。
既にあるブランド名を活用して新商品を投入する戦略は、「ライン拡張戦略」と呼ばれ、飲料や食品メーカーでよく使われている。ブランド力が高い商品ほどその効果は高い。直近6年間で販売量は倍増し、2016年には1億ケースを超えた。


今年3月には、国内4拠点のビール工場の名称を「天然水のビール工場」に変更した。水で培ったブランドをビールでも訴求し始めている。強固なブランドを活用して販売を拡大し、それをブランドの認知拡大につなげる──。決して手綱を緩めることのない同社のこうした取り組みが、効果を表している。
同社の強さの背景には、商品、企業活動、宣伝など、事業のあらゆる側面で「水と生きる」というコーポレートメッセージを訴求するブランド戦略がある。コーポレートコミュニケーション本部長の福本ともみ執行役員は、「2005年にこのメッセージを掲げて以降、消費者の約7割に認知度がある。水を守るというイメージを具体的なものとして感じてもらえるよう注力している」と話す。
この戦略を体現しているのが、中核商品の「天然水」だ。水源の山々と自然を描いたデザインラベルで、水源を守る姿勢をアピールしている。テレビCMでも水源の山や森の美しさを意識させる内容にしているという。
一橋大学大学院・国際企業戦略研究科の阿久津聡教授は、「商品戦略をサントリー社員が実施している水源保全活動と結びつけ、ストーリー性を持たせている」と分析する。
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