上記の2つのインデックスは、パリ協定や国連の持続可能な開発目標(SDGs)への対応を含む企業のESGの取り組みを総合的に評価するもの。地球温暖化や水資源、生物多様性などの環境への配慮や、従業員の健康など社会への配慮、ガバナンスの確保などESG全体をみる。

 これに対し、MSCI日本株女性活躍指数は、女性を焦点に置き、ESGの中でも「S」に注目したインデックス。女性の比率や勤続年数、男女の勤続年数の差などを評価する「性別多様性スコア」をMSCIが独自に開発した。企業が都合よいデータだけを公表し、都合悪いデータを公開しない場合、スコアが低くなる仕組みも取り入れたものだ。時価総額をベースに同スコアと財務の健全性で重み付けしたインデックスとなっている。212銘柄で構成されている。

評価基準を開示、企業の情報公開を促す

 これらのインデックスを選んだ理由としてGPIFは3つのポイントを挙げる。第1が、財務的な要因などではなくESGをしっかり主軸に据えて企業を選定し、かつリターンも得られるインデックスであること。また、アルコールやタバコなど特定業種の企業を除外していないことだ。「マーケット全体のESGの底上げを図るためである」(GPIF担当者)。

 第2が、企業の情報開示を促進するようなインデックスであること。いずれのインデックスも、企業の公開情報を用いて格付けしている。また、企業を評価する基準を公表しており、企業に対して何が何点だったかをフィードバックできる。「これにより、何をすべきか企業に考えてもらえる」とGPIFの担当者は期待する。

 第3が、応募したESG評価会社が特定の企業と利害関係がないこと。ESG評価のガバナンスや透明性を高めるためだ。

 3つのインデックスを用いて、過去5年間の年率リターンを計算したところ、14.83%と親指数より高くなった。リスクは同17.62%と親指数より低い。すでに委託運用機関を通じてインデックスに連動したパッシブ運用を実施している。中長期的なリスクを低減し、市場平均を上回る収益を得られると期待している。

 今後はこの3つのインデックスに加えて、さらにESGの「E」に特化したインデックスも採用を検討しており、現在審査中だ。年内にも公表し、運用を始める見込み。

ESG投資の世界規模は2755兆円に

 ESG投資は世界的に活発化している。日本サステナブル投資フォーラム(JSIF)によると、世界のサステナブル投資(ESGに配慮した投資)の規模は2012年の1596兆円から2016年には2755兆円に拡大している。日本ではESG投資が遅れてきたが、GPIFが2015年に国連のサポートするPRI(責任投資原則)に署名したことで、急拡大し、2013年の8323億円から2016年には57兆567億円に増えた。

 今回GPIFが新インデックスを用いてESG投資に乗り出したことで、この流れがいっそう加速するのは間違いない。

(藤田香=日経エコロジー編集&日経BP環境経営フォーラム)