「AI TOY(アイトーイ)」での販売を予定している車両タイプの無人機(上)。AIを搭載するコンピューター(下)
「AI TOY(アイトーイ)」での販売を予定している車両タイプの無人機(上)。AIを搭載するコンピューター(下)

 エンルートの狙いは、ドローンや車両タイプの無人機を買ってくれた消費者に、AIを利用した様々な使い方を考えてもらうこと。面白そうなアイデアは広く共有する。そのための仕掛けも用意する。それが、近く立ち上げる情報交換サイト「AI DRONE(アイドローン)」である。ここでは、AIを活用してドローンや小型車両を動かすためのソフトなどを提供する。「ディープラーニング(深層学習)」と呼ぶAIの技術を利用して、人が操作しなくてもドローンや車両を自律的に動かせるようにする。

 AIを活用することで、ドローンに搭載したカメラで撮影した画像を解析し、次にどちらへ進むかをコンピューターが判断して飛行するといったことが可能になる。そのためには、多くの画像を取り込んで、AIに学習させる必要がある。この学習データを作る作業を消費者にやってもらおうというわけだ。

 消費者が作った学習データは、サイト上で共有できるようにする予定である。伊豆社長は、「ディープラーニングは、学習データを作るのが一番大変。便利な学習データを誰かが作ってくれれば、市場の活性化につながる。シェパードやチワワなど犬の種類や、セダンやSUVなどクルマのタイプを見分けたりできるので、そういうところからドローンの面白い使い方が生まれてくるのでは」と期待する。

 車両タイプについては、AIを利用して早く正確に走れるかどうかを競う大会を今秋にも開催する計画である。エンタテインメントの要素を取り入れることで、学習データを意欲的に作ってくれる人が増えるとみる。

 エンルートの社員は現在、十数人。業容の拡大で人手不足が懸念されるなか、一般消費者を含めた外部の人材を活用することが重要になっている。アイトーイで販売するAI搭載の無人機は、機体とそれに搭載する小型のコンピューターと合わせて20万円程度になる見込み。アイドローンでは、プログラミングの知識がない人でも学習データを作れるツールを提供するという。

「動くかかし」で害獣被害を防ぐ

 一方の産業用では、新たに害獣被害の防止で需要が見込めそうだという。山間部や農村部などで、シカやサルといった野生の鳥獣が植栽木やシイタケなどを食い荒らす被害が絶えない。農林水産省によると、2014年度の農作物の被害額は全国の合計で191億円。シカによる被害が最も多く、約3割を占める。そこで、カメラで撮影した画像から、シカやサルが接近していることを検知し、そうした鳥獣が嫌がる音を発したり、近づくのを嫌がるようなことをしたりする無人機の開発を検討している。エンルートは、「動くかかし」を提供することで、害獣被害を抑える考えである。

 産業用に加えてホビー用での販売拡大を狙うエンルート。ソフトバンクの人型ロボット「Pepper(ペッパー)」やシャープのロボット型携帯電話「RoBoHoN(ロボホン)」など、AIを利用した機器が身近な存在になりつつある。愛嬌のある見た目をしたこれらとは異なるドローンが、一部のメカ好きやコンピューター好きの人だけでなく、より幅広い層まで浸透するか。エンルートの挑戦は始まったばかりだ。

「ドローン」の活用事例、業務部門での省エネ強化の実践法
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