今、国内のゴルフ場でアサヒグループホールディングスが手掛けるある製品が人気を集めている。渇いた喉を潤すビールを想像されるかもしれないが、ここで取り上げるのは別の製品。ビールの副産物から作る肥料だ。ゴルフ場の芝に散布すると、根のしっかりした芝が育つという。
岐阜セントフィールドカントリー倶楽部(岐阜県関市)でグリーンキーパーを務める佐藤正三さんは、「グリーンのコンパクション(硬さ)が増し、ボールが転がった跡がつきにくい。ボールを曲げたり止めたりと、プレーヤーが思うように扱いやすく、技術力を発揮できる」と話す。
このゴルフ場では昨年から、ビールの副産物から作った肥料を全18ホールと練習場で採用しているという。


アサヒグループホールディングスは今年3月、ビール酵母を原料にした肥料の製造・販売などを手掛ける新会社アサヒバイオサイクルを設立した。
ビールの主原料であるビール酵母は、醸造後、風味の劣化を防ぐために取り除かれる。このビール酵母は醸造過程で麦汁の栄養分をたっぷり吸っており良質な成分を含んでいることから、アサヒはこれまでも胃腸・栄養補給薬「エビオス錠」や、ラーメンやレトルト食品などの調味料として販売してきた。だが、それでも使い切れないぐらい大量のビール酵母が醸造後に発生する。
今回、調味料などにこれまで使われていなかったビール酵母の殻に当たる「ビール酵母細胞壁」を原料にした肥料を開発した。ビール酵母細胞壁は、既に家畜の飼料として有効利用してきたが、より付加価値の高い用途を模索していた。
アサヒバイオサイクルの御影佳孝社長は、「国内に約2100カ所あるゴルフ場のうち、既に数百カ所に肥料を販売している。2019年には5億円の事業に育てたい」と意気込む。
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