2003年の欧州の熱波が起業のきっかけ

なぜDR事業を立ち上げようと考えましたか。

オリビエ:私は25年間、アルミニウム会社に勤めていました。

 アルミニウムの生産コストの中で、電気代は30%以上を占めていました。

 自分の仕事の5割以上は、世界各国の工場を回って、電気代の交渉をすることでした。

 エネジープールを起業するきっかけになったのは、2003年の欧州の熱波です。

 非常に熱い夏で、水不足で原発の発電量も抑えざるを得ず、フランスの電力供給がひっ迫しました。

 当時、私が経営してたアルミニウム工場は、フランス北部で最も電気を消費する需要家でした。

 危機的な状況を何とかしようと考え、工場の電力使用量を抑える方法を検討し始めました。生産プロセスを見直すと、生産を停めずに電力使用量を削減できることが分かったのです。

 実際に工場の電力使用量を2~3週間で30%削減し、仏電力大手のEDFに対して200MWを提供することを提案しました。EDFから「季節外れのサンタクロースだ」と喜ばれ、かなりの報奨金を得ました。それは年間の利益に匹敵するくらいの額でした。

どのように電力消費量を30%削減したのですか。

オリビエ:通常より電流を下げることで、生産への影響を最小限に抑えながら、電力使用量を削減しました。具体的には2時間も電流を下げると生産に影響がでるが、分単位で少しだけ電流を下げれば生産に影響がないことが分かったのです。

 これにはアルミ生産に対する高度な知識が必要です。実はDRの事業における我々の存在意義はここにあるのです。

 例えば、製紙工場ではあれば、どこまで電力使用量を下げられるかを知らなければならないのです。生産工程における圧力や温度など細かいパラメーターを把握していなければなりません。

相手側の製造プロセスを理解していないと、DRの提案をできないのですね。

オリビエ:その通りです。我々には製紙や化学、セメント業界の専門家がいます。

 データセンターや病院については、シュナイダー・エレクトリックに専門家がいるので、同社と連携して顧客にDRを提案します。

仏エナジープールによるデマンドレスポンスの実績(2013年4月5日)
デマンドレスポンスでは、時間ごとに複数の需要家の協力を得て、電力需要を管理する。(出所:仏エナジープール)