自衛手段が必要

 アンケートでは、ダイコーから処理困難通知が届いたかどうか、自主回収に応じるかどうかについても聞いた。処理困難通知が届いた排出事業者は、回答した11社中7社だった。そのすべてが自主回収に応じる意向を示している。具体的には、「既に自主回収を始めている」(3社)、「今後、自主回収する」(3社)、「現地で確認した廃棄物を回収した」(1社)という回答だった。

 排出事業者が処理困難通知を受け取った場合、生活環境の保全上の支障の除去や被害発生の防止などの必要な措置を講じて、通知を受けてから30日以内に措置内容等報告書を都道府県知事に提出することを義務付けられている。

 大変なのはそれだけではない。愛知県などはダイコーに処理を委託した排出事業者に対し、残された廃棄物の自主回収を求めている。今回の回答企業には、長期間にわたり大量の廃棄物の処理を委託している企業が多かった。一例を挙げると、動植物性残さや汚泥を約15年間にわたって月間30t処理委託している企業もあった。

 過去に委託したもののうち、どれだけの量が保管場に残っているか定かではないが、ダイコーの3県の保管量が1万5000立方メートルあることを考えると、自主回収による費用負担は少なくない。愛知県によると、処理困難通知が届いている排出事業者は53社あり、その中には零細な事業者も含まれるという。保管場にある廃棄物の撤去や処理は長期間に及ぶだろう。

 最後に再発防止策については、処理業者任せではなく、自ら積極的に転売防止措置や、廃棄物の処分完了までのトレーサビリティを確保するための対策を検討している排出事業者が多かった。

 転売防止措置についての具体策としては、「消費者に転売される恐れがある商品は、破砕してから処理を委託する」「廃棄物であることを示すスタンプや表示をすることを検討」「包装から取り出した中身を副産物と一緒に容器に移し替えて排出する」などを挙げている。「(廃棄物の)搬出時、荷卸し時、破砕処分時の確認を検討」することによってトレーサビリティを確保するとした企業もある。

 だが、破砕や移し替えのような措置は相当な手間とコストが掛かる。そこまでできない企業にとっては、収集運搬業者と連携して廃棄までのトレーサビリティを確保するのも効果的だろう。収集運搬業者は処理場に頻繁に訪れるため、些細な変化に気付きやすい。スマートフォンなどを活用して廃棄物の回収から処理までの様子を確認できるサービスを計画している処理業者もある。

 廃棄物処理法の許可業者や食品リサイクル法の登録再生利用事業者に処理を委託したからといって、いったん不適正処理事件に巻き込まれれば、それが“免罪符”にならない現状がある。「廃棄物リスク」から身を守るには、自衛手段を持たなければならない。

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