現地確認するも見抜けず

 処理能力を大幅に超える1万5000立方メートルもの廃棄物を保管していたダイコーの不正を、排出事業者はなぜ見抜けなかったのか。日経エコロジーは、ダイコーと取引のあったとみられる排出事業者28社に緊急アンケート調査を4月1~20日に実施、11社から回答を得た。処理委託の内容や委託先として選んだ理由、自治体が求める自主回収への対応、再発防止策などについて聞いた。

 ダイコーを委託先に選んだ理由として、11社のうち7社が「食品リサイクル法の登録再生利用事業者だった」ことを挙げた。登録再生利用事業者制度は、再生利用事業を実施するための一定の要件を満たす業者を登録する制度だ。多くの排出事業者は、国が事業内容や実績を審査して認可する制度と誤解していた可能性が高いが、実際には書類が整っていれば登録可能だ。

 「事業開始時に処理施設や処理内容などの項目を記入して届け出れば登録できる。行政の視察はあるものの、あまり機能していない。施設の稼働状況や取引実績などは把握できていない場合もあるだろう」と、石渡氏は指摘する。つまり、登録業者だからといって安心して委託できるとは限らないのだ。

 2011年4月に施行された改正廃棄物処理法で、排出事業者による廃棄物の処理状況の確認義務(現地確認義務)が定められた。ただ、努力義務であるため、実施している企業は限られると予想される。横流し事件に巻き込まれた排出事業者の現地確認の実施状況はどうだったのか。

 「1年間に1回以上、現地確認を実施していたか」を尋ねると、確認の内容はさまざまだが11社中7社が現地確認を実施していた。中には、「廃棄食品の破砕および発酵工程を見学、(廃棄物の)受け入れ能力の余力、悪臭や騒音がないか」まで念入りに調べていた企業もあった。

 しかし、ダイコーは本社工場以外に、愛知県内だけでも4カ所、岐阜県や三重県にも保管場所を持っていた。現地確認は本社工場だけを案内し、廃棄食品は他の保管場に移すなど、巧妙な手口で排出事業者の目を欺いていた可能性がある。排出事業者が廃棄物横流しのリスクから自衛するためには、リサイクルの知識や処理状況を分析するための実践的なノウハウなどを習得して現地確認に臨まなければならないことが分かる。

 現地確認ではまず「客観的な数字で把握することが重要だ」と石渡氏は指摘する。例えば、生ごみを堆肥化する場合、脱水した後、もみがらなどを混ぜて約2カ月は発酵させる必要がある。発酵のために十分な空間が施設になければならない。その容積と発酵期間から、処理業者が受け入れられる廃棄物の量はおよそ決まる。作っている堆肥の量に比べて、受け入れた廃棄物の量が明らかに多い場合は、処理能力を超えて過剰に受け入れている可能性がある。

 処理業者の経営状態や法令順守に対する意識は、施設の清潔さや社風などに表れることも多い。事務所内が整理整頓されているか、従業員から挨拶が返ってくるかなどの確認も有効だ。現地では、五感を研ぎ澄まして確認する必要がある。

 一方で、現地確認をしなかった4社についてはどうだったのか。理由を回答したのは2社だけだったが、「努力義務だったから」「マニフェスト(産業廃棄物管理票)が返送されていたから」というものだった。