キリンホールディングス、コニカミノルタ、コマツ――。2030年までにCO2などを大幅に減らす目標の発表が続いている。今世紀末までの気温上昇を2℃未満に抑えることが目的だ。ESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みを評価する投資家の増加が背景にある。

 今年になって、日本企業が2030年ごろをめどとする温室効果ガス削減目標を発表するケースが相次いでいる。中でも、「SBT」と呼ばれる、「2℃目標」の達成に貢献する目標の設定が注目されている。

ドコモやトヨタも新目標を設定へ

 「2℃目標」とは、今世紀末における世界の平均気温を産業革命前と比べて2℃未満の上昇に抑えることだ。地球の温暖化を防ぐために国際社会が共有してきた目標で、2015年末に策定され昨年発効された条約「パリ協定」にも盛り込まれた。SBTは、個別の企業が、2℃未満を実現するために自主的に取り組む温室効果ガスの削減目標である。

 5月8日までに世界の265社がSBTを設定することを約束しており、そのうちの44社が目標を設定するまでに至った。米コカ・コーラ・エンタープライズや米デル、米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、スイス・ネスレ、米ウォルマートらが名を連ねる中、日本企業は川崎汽船、キリンホールディングス、コニカミノルタ、コマツ、ソニー、第一三共の6社がSBTを掲げた。

 また、近々、目標を設定するとして約束した221社のうち、日本からはNTTドコモや花王、大成建設、ダイキン工業、大日本印刷、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどが名乗りを挙げている。

 SBTは「Science Based Targets」の略称で、日本語で言えば「科学に基づく目標」といったところだ。
 国連の傘下に、地球温暖化を専門とする科学者らが集う「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」と呼ぶ組織がある。IPCCは様々な報告書をまとめており、中でも「温室効果ガス排出量の抑制シナリオ」に関する世界の研究成果をとりまとめたものが注目されている。

 IPCCのとりまとめによれば「2℃未満の気温上昇」に抑えるシナリオはいくつかあるものの、パリ協定などではそのうちの1つのシナリオが参照されている。そのシナリオにのっとるなら、2050年における世界の温室効果ガス排出量を2010年に比べて41~72%削減することになる。

 「世界で2℃目標を達成するためには、企業も、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する必要がある」。そんな考えが、グローバル企業がSBTを設定する背景にある。