10~20%の人が環境性能のよい製品に切り替えるのでは不十分で、80~100%が実践するようになることが大切です。腰を据えてやっていきます。G7ではこうした都市の消費行動の変革も話題になるでしょう。

■環境大臣会合で議論されるとみられるテーマ
■環境大臣会合で議論されるとみられるテーマ
環境省は環境大臣会合の議題として、「SDGs」「資源効率性・3R」「生物多様性」「気候変動および関連施策」「化学物質管理」「都市の役割」「海洋ゴミ」の7テーマを発表している。また、議長国として、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故からの除染と復興についても世界に発信するという。上の表は、梶原局長のインタビューを基に、特に注目すべきテーマについて日経エコロジーでまとめたもの。
[画像のクリックで拡大表示]

「持続可能な都市」の在り方を富山から発信

長期的なCO2削減のために、G7諸国で協調する施策はありますか。

梶原:パリ協定では2020年までに長期戦略の提出が求められています。各国がどのように長期戦略を進めるかは各国の判断ですが、少なくともG7諸国が率先して取り組んでいることを世界に示すことが重要です。日本に関していえば、今春、「エネルギー・環境イノベーション戦略」を発表し、2030年以降に必要な技術を特定し、集中して開発するものを示しました。水素の技術や次世代パワー半導体など7~8の技術を挙げました。

 さらに、G7各国が重視しているものの1つに、カーボン・プライシング(炭素価格)があります。投融資を行う金融機関の判断を変え、社会変革を起こす手段になります。例えば企業が30ドルのコストで対策をするか、100ドルのコストで新技術を導入するかという選択肢があった場合、通常、採算がとれるかどうかで判断します。しかし、カーボン・プライシングを導入すると、投融資する人の判断が変わり、低炭素型の技術が普及し、市場も変化していきます。

 昨年のエルマウ・サミットではカーボン・プライシングを含む市場や政策手法を議論する場を設けることを決めました。G7全体でカーボン・プライシングに取り組むにはまだ距離感がありますが、少なくともカーボン・プライシングなどの政策手法を議論する場を設けることが今回のG7では盛り込まれるかもしれません。

2030年に向けて世界が達成すべき目標を定めたSDGsには、環境だけでなく、貧困、女性、健康などに関する17の目標と169の小目標があります。G7ではどんな議論をしますか。

梶原:おっしゃる通り17の目標と169の小目標があり、範囲が極めて広いため、各国で取り組む優先順位が異なります。SDGsの達成の進捗状況を測る「指標」も3月に国連から発表されました。各国は体制をつくり、実施に向け乗り出しています。

 SDGsには環境に関係のあるテーマとないテーマがありますので、G7環境大臣会合では環境分野でやるべきことを先進国で共有することが重要です。また、各国の実施状況を共有し、先進国で協調できる目標を見つけていきます。日本では環境省がステークホルダー会合を立ち上げることになりました。その報告もできたらと思います。

■SDGsの17目標
■SDGsの17目標
2015年9月の国連総会首脳サミットで採択されたSDGs「持続可能な開発目標」は、2030年までに世界が達成すべき目標を定めた。先進国や企業の役割が重視されている。
[画像のクリックで拡大表示]

資源効率などその他の分野でアピールすることは何ですか。開催地の富山県は、全国に先駆けて2008年にレジ袋無料配布の中止を全域で打ち出した県ですね。

梶原:G7では日本の循環型社会形成の取り組みを世界に発信したいと思います。2008年のG8で日本が議長国を務めた際、「神戸3R行動計画」を発表しましたが、今回のG7でも日本主導で資源効率と3Rに関する何らかの成果物を出したいと考えています。

 また、パリ協定やSDGsでも持続可能な都市のことがクローズアップされています(注:SDGsの目標11「持続可能な都市と居住」、目標12「持続可能な生産と消費」など)。都市の消費活動が変われば社会を変革できます。都市の対策や都市間協力に焦点を当てたいですね。開催地の富山市は内閣府の環境未来都市にもなっていますから、世界に向けた発信ができます。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。