年内に発効なら、次期大統領の離脱は難しい

 協定28条は(親条約である気候変動枠組条約から脱退しない限り)、協定発効後3年間は脱退できないと定めている。

 米国では11月に大統領選挙があり、来年1月に新政権が発足する。仮に共和党政権となって、オバマ政権が主導した協定からの離脱意思を持ったとしても、2016年中に発効すれば当面、脱退が難しくなる。

 米国の参加は、パリ協定の実効性を確保するためには欠かせない。パリ協定の発効と大統領選の行方を注視する必要がある。

自国の削減目標は、自国で決める

 パリ協定の中身についても概説したい。

パリ協定の5つのサイクル
パリ協定の5つのサイクル

 協定は、すべての国が「NDC(自国で定める貢献)」を5年ごとに提示する5年サイクルを義務付けた。NDCとは温室効果ガス削減目標のことだ。

 5年サイクルは、図に示すように、(1)世界全体での取り組みの総括から始まる。第1回の総括は2018年に行われる。次に、(2)総括の結果を踏まえ、すべての国が同じ年にNDCを提出する。提出年のCOPの9~12カ月前に提出することが義務付けられており、次回の提示は2020年である。2025年目標を掲げる米国などはこの時に2030年目標を示す。パリ協定は次期目標は当期目標よりも前進するとしており、米国は2025年目標を上回る目標を提出することが期待される。日本は2030年度目標を掲げているが、この時に現行目標の再提示か、目標の更新を行う。

 NDCの提出がCOPの9~12カ月前に設定されているのは、この期間に(3)各国のNDCに対する世界の理解を促進し、NDCを積み上げた世界全体の排出水準を2度や1.5度といった温度目標に照らして評価するためだ。

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