発電所やLNG(液化天然ガス)施設などのエネルギー・環境プラントでもAIの導入が進みつつある。

 プラントエンジニアリング大手の日揮は、AIを使ったプラントの運営・保守サービスに乗り出した。発電会社やプラントを所有する資源メジャー、化学メーカーなどに売り込みを始めている。

 同社が採用したのは、NECのAIである。特徴は、異常の予兆を見つける「インバリアント分析」と呼ばれる技術だ。プラントが正常稼働している状態をAIに学習させておき、実際のデータと比較していつもと違う挙動を検出したら、それを異常の予兆とみなす。

エネルギー・環境プラントでもAIの利用が始まっている。写真は、日揮が建設した石油精製所(写真:日揮)
エネルギー・環境プラントでもAIの利用が始まっている。写真は、日揮が建設した石油精製所(写真:日揮)

 通常の異常監視では、運転対象の温度、湿度、圧力、化学物質の濃度などを監視し、それぞれが基準値を外れたら異常とみなす。インバリアント分析では、データが基準値を外れない段階の運転員が気付きにくい変化や、過去に経験がない未知の異常を発見できる。

 異常の予兆検知は、運用効率の向上だけでなく、バルブやポンプ、圧縮機といった部品の劣化時期の予想にもつながるという。異常が発生する前に部品を交換できれば、不必要な稼働停止を避けることができ、燃料やCO2排出量の削減につながる。

AI活用でまず300億円の事業を創出

 これまでプラント建設を主力としてきた同社は、運用・保守を新たな収益源としたい考えだ。2016年5月に発表した中期経営計画では、事業領域拡大の1つとして、運用・保守事業への本格進出を掲げた。同社がこれまでに手がけたプラント以外の運用・保守も請け負う計画だ。

 昨年1月には専門部署「ビッグデータソリューション室」を立ち上げ、故障原因を特定するサービスを開始。既に5社と契約した。インフラ統括本部の三浦秀秋・統括本部長代行は、「AIはサービス強化の大きな一手となる。5年後に300億円のビジネスにしたい」と意気込む。

 AIは、省エネ技術として活用できるだけでなく、人材育成や海外展開など、多くの国内企業が抱える課題に応えられる可能性を持つ。環境プラントの運用・保守にAIを導入する取り組みは、千代田化工建設や富士通なども進めている。AIの活用で環境ビジネスは新たな局面に入った。