シャープや東芝への支援撤退で注目されたが、産業競争力強化法に基づいて2009年に創設された同機構は「新たな付加価値を創出する革新的な事業」への投資がその役割だ。

 「機関投資家として20年のキャリアを積んだ」と話す土田氏は「投資を決める時、危ない、儲からないと感じれば私もすぐに手を引く。しかし岡田CEOの夢は実現できると確信した」と話す。

アストロスケールの岡田光信CEO(右)と産業革新機構の土田誠行氏(左)。3月1日に開いた会見には宇宙飛行士の山崎直子氏(中央)も駆けつけた
アストロスケールの岡田光信CEO(右)と産業革新機構の土田誠行氏(左)。3月1日に開いた会見には宇宙飛行士の山崎直子氏(中央)も駆けつけた

 2人は2年にわたる議論を重ねた。「当初は技術もビジネスモデルも曖昧だった」が、岡田CEOの下に日本を代表する技術者が結集し、日を追って技術やビジネスモデルが形になる様子に「背中を押された」(土田氏)。アストロスケールは同機構からの出資で、2018年前半の除去衛星初号機の開発と打ち上げ費用などを賄う。

低コストで宇宙ゴミの解決目指す

 アストロスケールが編み出した除去の方法はこうだ。除去衛星を打ち上げてデブリに接近させる。数十cmまでの距離に近づいた衛星は、除去用の子機を放つ。子機は独自開発の特殊な粘着剤でデブリを捕獲する。子機を発進させるとデブリは他と衝突しないように軌道から外れ、大気圏に再突入する。その時、デブリと子機は焼失する。除去衛星の初号機は高さ1m、幅と奥行き60cmと意外に小振りだ。

 この方法で大きなデブリを除去する。他にも無数にある小さなデブリは、この方法ではとてもではないが除去し切れない。そこでどのような大きさのデブリが、地球からどの程度の高度を飛来しているかが分かるマップを作成し、今後の衛星の打ち上げ時に衝突を回避できるようにする。アストロスケールは2016年末~2017年初頭を目途に、マップ作成のための観測衛星を打ち上げる計画だ。

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