「商品を通じた環境配慮を実現したい」と国内で事業を展開してきた阪口氏。2012年、ブラジル・リオデジャネイロで開かれた「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」の会場で、ウルグアイのホセ・ムヒカ大統領(当時)が行ったスピーチに触発された。地球を持続可能な形で維持していくには、社会や生活、ビジネスを変革する必要があると訴えていた。

 「成長しながら環境に負荷を与えてきた先進国は、途上国の人々に成長と環境保護を両立する方法を伝える責任がある」と考えた阪口氏は、現地でNGOとして活動する知人を頼り、カンボジアにたどり着いた。

 現在、20種類程度の草木をアンコールトム郡にある14ha(ヘクタール)の土地に植えている。油脂が取れるモリンガやココナッツ、同国で自生するハーブなどだ。様々な高さに育つ木や下草になるハーブを混ぜて植えることで、自然に近い森づくりを目指している。森林減少率がアジアでも特に高いカンボジアで、増え続ける洪水災害を抑えられるようにした。

 同社はカンボジアで調達した原料を使った洗顔料や洗髪料などを「森の叡智プロジェクト」と呼ぶ製品シリーズとして展開し、全国の東急ハンズやイオンなどで試験販売している。

収穫した葉や実などは村の住民らに依頼して商品原料に加工してもらう

大手アパレルや流通が相次ぎ参画

 米ぬかとモリンガの葉の粉末を混ぜた洗顔料は、2016年5月から2017年1月に7500個売れた。2019年度からは商品の現地生産を本格化させる計画で、この製品シリーズ全体で2019年度に2016年度見込みの5倍に相当する売り上げと、同10倍に相当する利益を見込む。

 阪口氏は今後、国連開発計画(UNDP)などの協力を得て100haにまで植林を広げたい考えだ。カンボジアに限らず、他のアジアなどの国への事業展開も目指す。ただ、100ha分の草木から得られる原料は、同社だけでは使い切れない。洪水を抑える森づくりを広げていくには、日本で原料を製品化する企業の仲間を増やすことが欠かせない。

 阪口氏は、多くの企業に参画を呼びかけている。まず、2017年に大手アパレルメーカーがカンボジアの森で育てた綿花で作るオーガニックコットンの使用を始める予定である。また、ある大手流通業がフロムファーイースト製品の販売を検討している。同社のビジネスモデルが注目を集めそうだ。

東急ハンズやイオンなどの小売店で販売しているフロムファーイーストの洗顔料や洗髪料