そのまま販売するのであれ再加工するのであれ、廃棄物となった食品を再び人が食べる食品として流通させることは悪質極まりない。食品としての管理が行き届かないし、廃棄された時の事故の状況などが、再流通過程では分からなくなるからである。幸い今回の事案で今のところ健康被害は報告されていないが、もしも有害な細菌やカビの繁殖、有害物質の混入があれば、広域食中毒に発展する。この事件だけではなく、類似事例を徹底的に洗い出すとともに、再発防止に万全を期さなければならない。

 こうした不正の悪循環を食い止めることはできなかったのだろうか。国や県が審査や検査で違法な処理を見落とした、あるいは気付いたものの改善指導が十分ではなかったという問題はさておき、排出事業者にできることはあったはずである。

 廃棄物処理法では2011年4月から、排出事業者に対して現地確認の努力義務を課すようになっている。マニフェストの返送だけでは、最終処分(リサイクルを含む)までの確認方法として十分ではないとして、年に1、2回、チェックリストなどを使いながら、処理施設を実地調査することを勧奨している。壱番屋など社名が挙がっている企業の多くも、法に従ってダイコーの現地確認はしていたようだが、不正を見抜けなかったという。

実地調査では適正在庫かを確認せよ

 現地確認のコツは、(1)処理前在庫、(2)処理、(3)処理後在庫の流れに沿って、定量的な把握をすることである。偽装リサイクル施設では処理前在庫が過大で、特定の品目に偏っていることが多い。処理施設はろくに稼働していないか、処理能力がぜんぜん足らない。そして何より、まともな処理後在庫が存在しないか、極めて少ない。以前に作った良品や他社製品を見せ玉に置いていることもある。つまり、インプットとアウトプットがまるでバランスしないのである。

 問題になった廃棄冷凍カツの場合でいえば、以下の3つを確認する必要がある。

(1)処理前在庫の確認:高たんぱくなので飼料化やペットフード化には向いている。ただ、炭水化物をもっと含む他の原料と混ぜる必要があるが、それはあるか。肥料化する場合には、たんぱく質と脂質からアンモニアが多量に発生するので、熟成に数カ月かかる。熟成期間が長くなるとヤードが足らなくなる。

(2)処理の確認:熟成中の肥料は温度が上がり、湯気が立ち上ってくるので、温度や水分の管理状況を見れば処理のよしあしは一目で分かる。なお、壱番屋は廃棄冷凍カツの堆肥化を委託したようだが、ダイコーは飼料化が主たる処理方法であり、堆肥化は能力(熟成ヤードの広さ)がそもそも不足していた可能性が高い。

(3)処理後在庫の確認:完熟した肥料は、水分が抜けて掌からパラパラと落ち、臭いもほとんどなくなっているはずである。

――こうした知識と経験をもって現地調査を実施していれば、処理前在庫、処理、処理後在庫のいずれかの問題に気付けただろう。どんな工場でも、管理のよしあしを見極める基本は適正在庫(原料在庫、仕掛品在庫、製品在庫)である。在庫が多くても少なくても疑わしい。

 この事件の背景として、食品リサイクル法による登録再生利用事業者制度による認定をダイコーが国(農林水産大臣)から受けており、これを悪用したことが指摘されている。しかし同法では、登録申請に対して要件を満たしていれば登録しなければならないとされており、登録に際して国の自由裁量は認められていない。

 登録の要件や審査が厳しいかどうかはともかくとして、この制度の最大の問題は情報公開がないことである。実は、情報公開を前提とした廃棄物処理法の優良産廃処理業者認定制度も信頼性は高いとはいえず、認定業者の不祥事が後を絶たない。ましてや登録業者リストが公開されているだけの登録再生利用事業者では、信頼性を検証するすべがない。

次ページ コラボレーションのススメ