2つ目の工場ルートから廃棄される食品は業種指定に該当するので、産廃となる。ただし、賞味期限切迫などによる物流倉庫からの在庫廃棄は、荷主が食品メーカーか流通企業かによって、産廃になるか一廃になるかが決まる。これも大量廃棄される場合は、事実上産廃として処分されることが多い。

 さらに細かなことを言うと、壱番屋の廃棄冷凍カツの場合、自社工場や協力工場からの廃棄は産廃、協力工場から自社倉庫、物流倉庫に入庫した後の廃棄や店舗に出荷した後の返品の場合は一廃になると考えられる。

■ 食品廃棄物は排出場所によって処理の主体が異なる
■ 食品廃棄物は排出場所によって処理の主体が異なる
[画像のクリックで拡大表示]

 食品リサイクル法の規定も一廃と産廃では異なる。一廃の収集運搬については、広域運搬を可能にするために、通常は市町村単位で取得しなければならない収集運搬の許可が免除される特例がある。同法の登録再生利用事業者への運搬や、認定事業者(再生利用事業計画の認定を受けた食品関連事業者)からの委託が対象になる。一方、産廃の収集運搬には許可の特例はない。

 処分については一廃にも産廃にも許可の特例がないので、流通ルートと工場ルートの両方の食品廃棄物を処分する処理施設(リサイクル工場)は一廃と産廃の両方の処分業許可が必要である。必要な許可が一つでも欠ければ、無許可処分として処罰の対象になる。

 上記に紹介したように法的には一廃だが事実上産廃として処分されている廃棄物を、一廃の許可がない施設で処分すれば、処理委託契約書の締結やマニフェストの交付など外形的には合法な手続きを踏んでいても、厳密には違法な委託であり、無許可の処分である。

 このように、食品廃棄物の一廃と産廃の区分は複雑であり、法律と実務に大きなかい離を生じている。1971年に廃棄物処理法が施行されてから45年が経過するのに、いまだに「守りたくても守れない法律」という混乱が続いているのである。これは立法の懈怠(けたい)といえる。しかし、規制に構造的な問題があるとしても、企業が今回のような事件に関係した時に、それを言い訳にはできない。現状に合わせて自衛する他ない。

要注意の「堆肥化」

 流通ルートの末端で売れ残った食品は、必ずしも廃棄処分されず、再加工・再販売されることが多い。例えばスーパーの店頭で売れ残った肉や魚、卵、野菜を、店内でお弁当やお惣菜に加工するということは普通に行われている。また、スーパーや食品卸売業者などから、賞味期限切れまたは期限切迫食品を買い取って再販売するブローカーも普通に存在している。インターネットで「期限切れ買い取り」と検索すると、複数の業者がヒットする。期限切れ飲料や食品を輸出している業者もある。

 再加工せずに期限や生産者などを付け替えれば当然虚偽表示になるが、食品として適正に管理され腐敗や変質などの劣化がなければ、賞味期限切れ食品を再加工し、新たな期限を付けて販売しても食品衛生法上は違法にはならない。先進国で最も食料自給率が低く、食料廃棄率が世界一高いとされる日本の現状を考えると、一概に賞味期限切れ食品をすべて廃棄すべきというわけにもいかない。安全性を担保しながら食品を無駄にしない方法を工夫していく必要がある。

 現状、コンビニチェーンなどの大手流通業者や食品メーカーは、賞味期限が切迫した食品を再販売することはなく、すべて廃棄処分している。新しい商品を適正価格で売りたいわけだから、古い商品を安価に販売させることは営業的にはあり得ない。

 では、廃棄物となった食品はどのように処分されているのか。2001年の食品リサイクル法施行後は、従来からある焼却や埋め立てではなく、飼料化や肥料化、メタンガス化などのリサイクルが優先されるようになった。とくに肥料化は、廃棄物処理法の施設設置許可の対象外になり、設備も簡易なことから施設が乱立し、1トン当たり3万円程度の焼却費よりも安い1万円程度の費用で受け入れるリサイクル業者が目立つようになった。ダイコーは1万2000円で受け入れていたと報じられている。

 排出事業者からすれば、食品リサイクル法の報告書(食品廃棄物等多量発生事業者の義務)や環境報告書などに記載するリサイクル率の目標を達成しやすくなり、コストをかけずに処分できる堆肥化(特殊肥料化)施設を重宝するようになったのである。

次ページ 売れ残りより廃棄物の方が再販価値が高い