働き方改革はガバナンスから

牛島:日本企業が最も遅れているのが女性取締役の登用ではないでしょうか。働き方改革の一環で女性活躍に取り組む企業が増えてきましたが、一番効果があるのは取締役会のメンバーに女性を入れることです。多様性を力にするという企業の意思を、ガバナンスを通じて社内外に示すことにつながります。

内藤:女性の社外取締役は引っ張りだこです。外国出身の女性となるとなおさらです。執行役員を務める女性は増えているのですが、取締役までには就けていないのが現状です。ただこの問題は、時間が解決してくれるのではないでしょうか。

牛島:ガバナンス改革は待ったなしです。取締役会に多様性をもたらし、それを働き方改革につなげる。これこそ外部取締役が真っ先に声を上げるべき問題だと思います。

 社内で昇格した人間を社長に据えるという日本型ガバナンスは、決して悪いとは思えません。企業を愛し、社内から尊敬される人が率いることは、企業の一体感を醸成する上でも重要です。日本型経営の利点を維持しつつ、多様性を力に変える。こうした視点を持った社外取締役が求められます。

日本型経営の良さを引き出すガバナンスとは。

牛島:日本型ガバナンスのもう1つの特徴に監査役制度があります。日本企業のほとんどが監査役会設置会社で、古びた制度のように思われているかもしれませんが、この監査役を生かすのも手だと思います。

 監査役会は3~5人程度で、そのうち半数以上が社外監査役というのが一般的です。社内監査役は社内を熟知した人が就任する場合が多く、社外監査役との情報交換によって濃密な議論が交わされており、様々なリスクやチャンスに気づくことがあります。にもかかわらず、こうした監査役の良さを生かせていません。

内藤:社内監査役は、監査権を持っているので、集まる情報量が圧倒的に多いです。監査役は業務執行から独立した存在ではあるのですが、監査役の声を拾い上げることで、取締役会を活性化できます。社外取締役と社外監査役が、定期的に情報共有をする場を作っている企業も出てきています。

牛島:社外取締役との連絡や議事録の作成などの準備は、社長室や総務部などの担当者が担っているケースが多いと思います。取締役会の活性化のために、準備を担う専門組織「取締役会事務局」の制度化も視野に入れるべきではないでしょうか。こうした事務局に環境やCSRの視点を持った人間を据えることで、ESG経営を強く推進できます。