AIの活用で配達遅延は1%未満
「ネット通販は便利だけれど受け取りが不便」。アスクルはこうした顧客の不満を解消するとともに、再配達による運転手の負担を軽減するためにハッピーオンタイムを開発した。ロハコの購入客は荷物を受け取るために、6時から24時までの間で1時間だけ空けておけば済む。
1時間単位で指定できるようにして、顧客が荷物の受け取りのために待つ時間を少なくしただけではない。ハッピーオンタイムでは、スマートフォンのアプリやウェブサイトで、指定した1時間の枠のうちいつ届くかを30分単位で知らせてくれる。
例えば、配達時間を「20時から21時」に指定すると、「20時00分から20時30分」といった具合により細かく荷物の到着時間が分かる。さらに、到着10分前にも通知し、受け取れる確率を高めている。
冒頭で紹介した再配達率は、こうして実現した。1時間枠で指定した顧客のうち、受け取れなかった比率はわずか2.7%。2時間枠を含めた全体で見ても5.9%と極めて低い。アスクルECR本部配送マネジメント配送イノベーションの吉村芳記部長は、「お客様と密にコミュニケーションを取るのがポイント」と言う。
待ち時間を減らして顧客の利便性を高めれば、購入頻度や客単価の増加が期待できる。ハッピーオンタイムは、優良顧客に対する付加価値サービスという意味合いもある。3000円以上買えば無料でサービスを利用できるが、購入金額が3000円に満たない場合は350円の追加料金が必要になる。
競合の通販サイトにないこのサービスを実現できるのは、緻密な配送計画を作る情報システムを構築したからに他ならない。AI(人工知能)を搭載しており、トラックの移動時間などから配達予定時間を自動で割り出し、実績との差を検証する。天候や渋滞、運転手のキャリアなどの情報を蓄積しており、予定より遅れた場合はどこに要因があるかを分析する。実績を積むたびにAIが学習することで計画の精度を高められる。
サービスを開始してまだ間もないが、予定時間に間に合わなかったケースは全体の1%に満たないという。
AIを活用して効率の良い配送計画を作成するとともに、主力の法人向け通販の荷物との混載によって物流コストと環境負荷をさらに抑えている。
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