詐欺被害の防止にも役立った

 既にサービスの利用者から、交通事故の防止に役立ったという声が挙がっている。

 例えば、急ブレーキの回数が前月よりかなり増えているのに気付いた家族が高齢の運転者に確認してみると、視力が低下していることが分かった。すぐに病院に連れて行き、事故のリスクを減らせたという。

 詐欺被害の防止に役立ったという意外な効果も報告されている。運転履歴から、親が普段行かない銀行に毎週通っているのが分かり、本人に聞いてみたところ、必要のない住宅リフォームをさせられそうになっていたという。

 高齢者の運転による事故を減らすのであれば、免許を返納する方法もある。だが、「もう運転はやめて」という子と「まだ運転できる」という親とで意見が一致しないケースは少なくない。無理に免許を取り上げると、公共交通機関が貧弱な地方では買い物難民になったり、外出が減ったせいで元気がなくなってしまったりと別な問題が発生する可能性がある。

 オリックス自動車はEver Driveによって事故のリスクを減らし、認知や判断、身体能力に問題のない間はできる限り運転を続けられるよう支援していく考えだ。中村課長は、「免許を返納する場合も、店や病院に行けるように別の交通手段を確保することが大事」と言う。

 交通事故は高齢者に限った問題ではない。

 損害保険ジャパン日本興亜の「ポータブル スマイリングロード」は、スマートフォン(スマホ)のアプリを利用したサービスだ。アプリは無償でダウンロードできる。2016年1月に提供を開始し、現在、約20万人の利用者がいる。

 ポータブル スマイリングロードの特徴は、「運転中」と「運転後」に事故防止の仕掛けを盛り込んでいる点にある。

 まず、運転中は事故多発地点に近づくと音声で知らせてくれる。同社が事故対応を通じて蓄積した事故データなどを基に危険な場所を設定している。あらかじめ事故多発地点を避けながら目的地まで行くこともできる。ナビタイムジャパン(東京都港区)のカーナビゲーション機能と連携し、事故リスクの低いルートを案内する。

 次に、運転後は安全運転の度合いを点数で確認できる。危険な運転がどれぐらいあったか、アクセルやブレーキの踏み方、ハンドル操作などどこに問題があったかといった詳細な診断結果も示してくれる。

損保ジャパン日本興亜の「ポータブル スマイリングロード」の画面。運転の診断結果を確認したり、安全運転をしてためたポイントで抽選に応募したりできる
損保ジャパン日本興亜の「ポータブル スマイリングロード」の画面。運転の診断結果を確認したり、安全運転をしてためたポイントで抽選に応募したりできる
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