高齢者の運転による交通事故が大きな社会課題になっている。逆走やアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故も珍しくない。警察庁によると、2017年の交通事故による死者数は3694人。このうち65歳以上の高齢者が54.7%を占める。全体で見ると死者数は減少傾向にあるが、高齢者の比率は50%を超える状態が続いている。

 国立社会保障・人口問題研究所によると、50年後には日本の人口の約4割が65歳以上の高齢者になる。高齢の親と離れて暮らし、「自分の親が交通事故を起こさないだろうか」と不安を抱える人は少なくないだろう。

 そうした中、高齢運転者の交通事故防止に焦点を当てたサービスが注目を集めている。

 オリックス自動車が2017年2月から提供している「Ever Drive」がそれだ。手のひらほどの大きさの車載端末を自動車に取り付け、車の挙動を記録する。急加速や急減速、速度超過といった事故につながりやすい運転を検知した場合、家族などにメールで通知する。

 運転後には、ウェブサイトで運転状況を確認できる。どこからどこまでどういうルートを走ったかを地図上に表示するとともに、どこで急ブレーキをかけたかといった危険な運転をした場所が分かる。

 危険な運転をしている兆候が見られたら、家族などが運転者とコミュニケーションを取り、注意喚起するといった利用を想定している。

 オリックス自動車リスクコンサルティング部Ever Driveデスク課長の中村健太郎氏は、「運転者に安全運転を意識してもらうことが一番大事。どうやって意識を継続させるかが課題だ」と話す。運転者自身が過去の運転を振り返り、意識を高めることもできる。だが、意識を長続きさせるためには、周りの人が声をかけることが効果的だという。

 オリックス自動車は企業向けの交通事故防止サービスを約10年間提供してきた経験から、そうした結論に至った。企業向けサービスでは、管理者が営業担当者などの運転状況を分析して安全運転を指導するのが一般的だ。約2300社、15万台超の車に導入した結果、速度超過などが大幅に減っている。

 Ever Driveは、管理者と営業担当者の関係を子と親に置き換えたサービスといえる。高齢者は普段、穏やかな運転をする人が多いので、企業向けサービスと比べて小さな挙動でも危険運転と判定するように車載端末の設定を調整している。サービスの利用料は月額2980円(税別)。端末の取り付けなど初期費用はかからない。オリックス自動車は、5年後に16万台への導入を目指す。

オリックス自動車の「Ever Drive」の画面
危険な運転をしていないか、長時間運転していないかといった運転状況をスマホやパソコンで見られる(左)。車載端末を使って車の挙動を記録する(右)