国連ビル1階ホールに掲示された「MDGs(ミレニアム開発目標)からSDGsへ」の移行を示すポスター。2000~2015年の目標だったMDGsは貧困対策など8つの目標を掲げていたが、SDGsの目標は環境や働きがいなどを含め17と大きく増えた
国連ビル1階ホールに掲示された「MDGs(ミレニアム開発目標)からSDGsへ」の移行を示すポスター。2000~2015年の目標だったMDGsは貧困対策など8つの目標を掲げていたが、SDGsの目標は環境や働きがいなどを含め17と大きく増えた

──博士はこれまでのインタビューで2017年末までに世界の20億人にSDGsを認知させたいとおっしゃっていますね。その狙いは。

ナバロ博士:世界の20億人という数は、70億の世界の人口の3分の1弱です。ここまで世界で認知度が上がると、SDGs達成を前進させる大きな力になると思います。市民はSDGsを知ることによって、目標達成を政府や企業に働きかけていくと思われるからです。

 私たちの見積もりでは、世界の20億人に認知してもらうためには、100万人のSDGs推進者が必要です。この点でも企業に大きく期待しています。企業内のSDGs推進者が活動することで消費者にリーチすることができます。もちろん大学や学校、宗教団体などの活動にも期待をしていますが、こうした動きは消費者が国連の目標を理解する流れを作ると思われます。

 そのなかでも日本は大変重要な存在です。日本企業は世界に巨大な市場を抱えています。またG7のメンバーでもあり、TICAD(アフリカ開発会議)にも象徴されるようにアフリカ市場への取り組みにも熱心です。東京にはSDGs推進本部も設置され、活動を牽引しています。

機関投資家や開発銀行にSDGs推進を呼びかける

──加盟国の取り組みには違いがあるとお感じですか。

ナバロ博士:SDGsに積極的に取り組む21の国が2016年、ニューヨークの国連本部でSDGsの進捗状況を発表しました。足並みは様々ですが、こうした国や日本を含め少なくとも50カ国が国の政策に取り入れるなど活発な動きを見せており、さらに約50カ国がそれに続いているという状況です。

──ほかにも、SDGsを推進する動きはありますか。

ナバロ博士:特にわれわれ国連が注目するのは、年金組合などの機関投資家や開発銀行の動きです。こうした投資家に対して、SDGsの推進を彼らの投資計画に組み込むよう働きかけていきたいと思っています。ほかにも携帯電話会社がビッグデータを公共の利益のために提供するといった動きや、地方公共団体が持続可能性を意識した政策を実施したり、世界の主要な広告代理店が広告活動を通じてSDGsの促進に取り組んだり、といった動きにも期待しています。まだまだこうした動きは広がると思います。

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