「健康によい食事」や「体に悪い食べ物」など、健康情報のなかでも人気の「食」の話。だがそれだけに、極端だったり矛盾したりする話も多く、何を信用していいのか分かりにくいのも確かだ。そこで、食と健康にまつわる根拠(エビデンス)を提供する栄養疫学の専門家として、世界的に活躍する今村文昭さんの研究室に行ってみた!
(文・写真=川端裕人)
引き続き、今村さんの目から見た「食事パターン」をめぐる健康情報について。
まずは「低炭水化物ダイエット」
「たとえば糖尿病は社会的にも問題とされる疾患ですが、それだけに着目した欧米中心のエビデンスに頼り、白米は駄目で、低炭水化物食とか低糖食がいいんだと推奨しがちの人が多いという印象です。そして、主張する人ごとに内容はまちまちです。ソフトドリンクや砂糖、シロップなどのことを問題にしていたり、白米のような食品をダメと言う人がいたり、本当に炭水化物の摂取源全部が駄目と言う人もいます。そのうえで、代わりに何を食べるかというと、『栄養価の高いもの』を推奨する人がいたり、なんでも食べていいよと言う人もいたり、加工食品は避けたほうがいいよと言う人もいて、バラバラなんですよね。こういったばらつきは、低脂肪ダイエット、低カロリーダイエット、菜食主義などについても同じで、そもそも一貫していません」

地中海ダイエットと同様で、低炭水化物ダイエットについても(およびその他の様々な●●食についても)、それがいったい具体的に何を指すのかということには注意が必要だ。同じ、「●●食」でも、そこそこ健康そうだと期待できるものと、そうでもないものが混在しうるということは忘れずにおこう。
そのうえで、今村さん自身によるメタアナリシスの結論のように(※1)、炭水化物よりも良質な脂質の方がよいというのは、多くの研究で支持されている。こういったエビデンスは、ぼくたちの日々の食生活の指針にはできないのだろうか。前にも聞いたことだが、腑に落ちない人もいるかもしれないので、もう一度、繰り返し尋ねておこう。
https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1002087
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