19世紀にH.G.ウェルズが『宇宙戦争』で描いたタコ形火星人はあまりにも有名だ。これはSF専門誌「アメージング・ストーリーズ」版。

 1964年、69年の火星の接近通過、いわゆるフライバイ(マリナー4号、6号、7号)、71年の周回軌道からの観測(マリナー9号)、そして、76年の着陸しての探査(バイキング1号、2号)によって、火星の生命についての期待は本当にしぼんでしまった。極冠というのは、英語ではIce Capで、水の氷がふんだんに存在しているかのような語感でもあって、一般のイメージとして「氷がたくさんある火星」は、地球と似た環境の惑星と思われる素地が、充分すぎるくらいにあった。もともと火星は、19世紀の観測で運河があると思われたり、SF作品で「タコ型宇宙人」の故郷と想定されたりして、「地球外にも生命がいる」という期待を(時には恐怖を)一身にになってきた惑星でもある。

 それが、初期の宇宙機の探査によって、いったんは潰えたというのだ。

 もっとも、バイキング1号、2号の探査を、小学校6年生の時にリアルタイムで体験したぼくとしては、いよいよ探査機が着陸して、サンプルを採取し、化学的な実験で生命の徴候を探そうとした時、たとえ微生物であろうとも、地球外生命の発見の可能性に世界中が沸き立ったということは付け加えておきたい。瞬間最大値あろうとも、火星の生命の存在への関心は、ものすごい高まりを見せた。その結果が、当時の宇宙少年の小学生をがっかりさせるのに充分なものだったとしても。

執拗に迫る

 しかし、小野さんが言う「ちゃぶ台返し」には、2回目がある。いったんひっくりかえったちゃぶ台なのだから、2度目は逆に期待値を劇的に上昇させるものだった。

「火星への探査機って、バイキング以降、20年くらい行っていなかったんです。それで、ほんのこの5年、10年ですよね。火星に水が流れてる、火星に洞窟がある、火星に30億年前に海があったことも、どうやら間違いなく確からしい。そんなわけで、最近、また火星に生命がいるかもしれないという期待がわーっと上がりだしているんです」

 バイキング以降、20年間もNASAが火星に探査機を送っていないのは、驚くべき事実だ。今の火星探査の盛り上がりから考えると信じがたいほどの「無関心」である。一度、期待がしぼんでしまい、ミッションに継続性がなくなってしまった、ということだろうか。

 もっとも、再度、マスタープランに「火星」の文字が書き込まれてからの火星探査は、ものすごいことになっている。日本ではあまり一般にまで浸透していないような気がしてならないのだが、数々の失敗を繰り返しながらも、それすら織り込み済みで、執拗に火星に迫っている。あまりにもたくさんの探査計画が実行されてきたので、箇条書き風にして概観しておきたい。