後付の知識でいえば、農業機械やゴーカートのエンジンの組み立ては「熱力学や機械工学すげーっ」であり、飛行機を真似して崖から飛んだ(落ちた)事件は「航空力学すげーっ」であり、そして、今度は「電磁気学すげーっ」である。大事なのは、新竹さんが、なにはともあれ実践から入っているということだ。理論よりも先に手が動いて、17世紀科学革命以降の進歩を、自分なりに取捨選択しながら、理屈ではなく体で追体験していることだ。

 また、中学生の間に風力発電装置を自作し、それが地元の宮崎日日新聞で取り上げられたということも、後々(半世紀近くたった今!)、海流や波を使った発電に取り組む伏線のようにも思える。

「中学校の3年だったかな。なぜか風車にはまったんですよ。まあ、結構電気は起きるからおもしろかったですけど、台風が来ると必ず飛んでいっちゃうんですよね。台風ごとにもっていかれてたら実用にならないよねと思って、自然エネルギーは使えないと、その時は思ったんですね。でも、それ、今、自分でやってますからね(笑)」とのこと。

 そこに至るまでまだまだ長い道のりだ。

高校時代にはこの風力発電装置をつくり、新聞に取り上げられた。

無銭技術

「高校に入るころじゃないかな。3人ぐらいの仲間で組んで廃材置き場に忍び込んで、壊れたものを拾ってきてました。バラしてみて、これ真空管かな、これコンデンサーかなと。でも、よくわかんないんですよ。宮崎県の田舎には秋葉原がないから、とりあえず本屋さんに行ってね、立ち読みするんですよ。雑誌、高いから、本屋のオヤジを横目で見ながら、回路図を息止めて丸暗記して、覚えてるうちにワーッと自転車で帰って、わかんなくなったら、また見に行って。それで廃材から色々作って。だからお金かかってないからね、これを『無銭技術』っていうんです(笑)」

 小学生までの時代を無手勝流の超体験先行型エンジニアリングで17世紀科学革命から20世紀まで自由に行き来したかと思ったら、中高生の時代は「無銭技術」で理論的な背景に目を開いていくさまが見て取れる。その時にやはり、新竹さんの人生のひとつの転機が訪れるのだ。