このところ「サメに襲われた」というニュースをよく耳にする。2015年には日本でも目撃情報が相次いだ。だが、「怖い」というイメージのほかに、サメについて知る機会はとても少ない。そこで、頂点に君臨する海のハンターの素顔に迫るべく、世界屈指の研究所を率いる佐藤圭一先生の研究室に行ってみた!

(文=川端裕人、写真=飯野亮一(丸正印刷))

 サメやエイは、硬い骨を持たないいわゆる軟骨魚類で、サメはすでに4億年前にはこの世界に姿をあらわしていたという。エイはその後、分岐して新たな分類群となったようで、サメとエイをあわせて板鰓類(ばんさいるい)と呼ぶこともある。

 現在、サメは分かっているだけで500種以上いて、熱帯から極地方まで、深海から浅い海まで、まんべんなく分布している。中には、最上位の捕食者として君臨するホホジロザメや、最大の魚類であるジンベエザメなど、我々から見てもカリスマ的な種が存在している。また、エイも淡水から海水まで世界中に進出しており、オニイトマキエイ(マンタ)は、その大きさといい、水中を飛ぶかのように泳ぐ様といい、非常に人気が高い。

佐藤さんが作成したホホジロザメの標本。サメの代名詞ともいえるカリスマ的な種だ。この標本は国立科学博物館の「海のハンター展」で展示される。(写真提供:日本経済新聞社)

 そんなサメやエイの繁殖様式が、本当に多様で、ほかの動物の様々なやり方と似たものを独自に発達させたり、他に例がないような方法を編み出したりしていることを知った。沖縄美ら島財団総合研究センターの佐藤圭一さんに言わせれば「繁殖様式のデパート」だ。

新常識

 本当にいろんなものがあって、混乱しそうなので、もう一度、整理する。

 以前、サメやエイは、卵生か卵胎生というふうに、卵で産むか、卵を胎内で孵化させてから産むか2種類の繁殖の仕方があると教わった。これは、「産み方」の問題で、たぶん90年代くらいまでの「常識」だった。

 その後、研究が進み、「産み方」よりも、むしろ、子どもへの栄養の提供の仕方に注目が集まった。なにしろ、サメやエイの中には、ほ乳類と似た胎盤を持つものが多いと分かったり、知識が深まってきた。だから、まず、大きく分けて、卵黄依存か、母体依存か、という部分が大きなポイント。そして、それぞれのカテゴリーの中にも、いくつものやり方がある。

 これまで出てきたものとしては──

ナショナル ジオグラフィック日本版でも「海のハンター」シリーズとして、2016年6月号で「イタチザメに会いたい」を、7月号で「ホホジロザメ 有名だけど、謎だらけ」を、8月号で「大海原の王者 ヨゴレはどこへ?」を特集しています。あわせてご覧ください。