90年代に環境ホルモンは「ちょっと騒がれすぎて、今は反動で報道されにくくなっていますが、だから安全というわけじゃない」と高田さんは言った。

 高田さんたちが発見したのは、無害だと思われていたプラスチックには、もともと添加剤が含まれているだけでなく、ノニルフェノールのような典型的な環境ホルモンを吸着してしまう性質があることだ。そのため、周囲からノニルフェノールなどを集めてしまい、「運び屋」として働いてしまっているというのである。

 こういった内容の論文を高田さんたちが発表したのは、2001年のことだった。それに呼応するかのように、その前後の時期に、プラスチック問題に危機感を持つ人が増え、研究者も増えた。

「21世紀に入って初めの頃は、北極の氷の中から見つかりましたよとか、あるいは南極海に行ったら浮いてましたよとか、見つかる範囲が広がる報告が増えました。最近では深海からも見つかって話題になりましたね。僕たちが直接かかわった研究としては、離島のものがあります。例えば大西洋では、セントヘレナ島ですとか、カナリア諸島ですとか。太平洋では、イースター島とか、みなさんが名前を知らないようなヘンダーソン島、さらにインド洋のココス島とか。他の陸地からかなり離れたところでも見つかります」

 さらに、20世紀の「プラスチック問題」が、21世紀には「マイクロプラスチック問題」として再認識されるようになる。

「2004年に、イギリスのリチャード・トンプソンという研究者が、目に見えないぐらいの大きさのプラスチックも海の中、砂の中に存在すると主張しました。場合によってはそれらが生物に食べられてしまう、つまり生態系の中に入ってくると。それで、研究者の間でも、社会的にも関心を持たれ始めたということになります」