「魚類と一口に言ってもいっぱい種類がありますけど、僕たちのところでやっているのは、まず骨鰾類(こっぴょうるい)。コイとか金魚とかが入るグループで、ゼブラフィッシュというのを特に研究をしています。
それと、棘鰭類(きょっきるい)というグループがあって、メダカとかグッピーとかトゲウオなどが入っています。ここからメダカを特に選んでいます。ゼブラフィッシュもメダカも、実験動物として非常によく研究されていて、遺伝学や発生学のいろいろな実験ツールが使えるというメリットがあるし、世代時間も比較的に短くて飼育しやすい。骨鰾類と棘鰭類が分岐したのは、かなり昔でだいたい2億5000万年くらい前ですので、この2つを調べることでかなり広く魚類の一般的なところに迫れるかもしれないと思っているわけです」
ゼブラフィッシュもメダカも淡水の魚だ。ウナギやサケのように海水と淡水を行き来することはない。とすると、比較的シンプルな生活史で、視物質のレパートリーもそれほど複雑なことにならないんじゃないだろうか。
再構成して測る
河村さんたちはオプシン遺伝子の種類を確認するだけでなく、遺伝子を転写したRNAを網膜から抽出して、実験室で視物質(タンパク質オプシン+色素レチナール)を実際に再構成した。そして、吸収波長を測った。
「ゼブラフィッシュは、吸収波長の違う赤オプシンを2種類持っていて、緑オプシンは4種類持っているとわかりました。そして青オプシンと紫外オプシンを1つずつ持っています。桿体オプシンもあります。あとで、外国の研究者が桿体オプシンをもう1つ見つけたのでオプシンは全部で10種類です。メダカは、赤2、緑3、青2、紫外線1で、それに桿体のものを加えれば、9種類。ただし、メダカの2つの赤オプシンの吸収波長は同じでした」
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