心打たれる美しい光景を見せてくれる一方で、嵐や大雪などの災害をもたらす雲。そんな雲をまるごと愛し、素晴らしい写真を日々公開しつつ、防災への貢献を目指して雲の仕組みの解明に取り組む荒木健太郎さんの研究室に行ってみた!

(文=川端裕人、写真=内海裕之)

2016年に「#関東雪結晶 プロジェクト」をスタートさせた荒木健太郎さん。関東甲信で雪が降った時に結晶をスマホで撮影して、「#関東雪結晶」というハッシュタグで投稿するよう市民に呼びかけた「市民科学」型の研究活動だ。

 それでは、この「市民科学」の成果は今のところどうなのだろう。

 2016-17年の冬が初実施なので、まだ1シーズン分のデータしかないのだが、それでも7000件以上。それらを分析することでどんなことが分かってくるだろうか。

「まず最初に、2016年11月の降雪についても結果をまとめた論文が3月に出ます。これ、覚えてらっしゃるかと思いますが、観測史上一番早い都心の積雪で、メディアも数日前から雪の可能性をとりあげて社会的な関心も高かったものです。おかげで、雪の結晶の観察を呼びかけると多くの人たちが応じてくださいました」

 1875年に統計開始以来、東京ではじめての11月の降雪として大いに話題になったし、実際に「予報が当たった」事例でもあって、印象が深い。

「この時は、南岸低気圧が発達初期の段階での雪だったんです。普通、温帯低気圧を伴う雪は、上空のかなり高いところで雲が成長するので、低温型結晶という、たとえば『交差角板』と呼ばれるような結晶が多いといわれていたんです。アメリカ東海岸での研究ですけど、低気圧の北側の中心から離れた位置では低温型結晶が卓越すると。でも、16年11月の関東の積雪では、朝8時から9時の時点で、そういうものが全然なかったんですね。むしろ、比較的温かくてかつ湿った環境で成長する樹枝状結晶などが多かったんです」

 雪の結晶の分類についは、2013年に日本雪氷学会が考案した「グローバル分類」を使っている。雪の結晶ができる時の温度や、空気中の水蒸気量によってどのような形になるかは「小林ダイヤグラム」というものがある。