関東に雪を降らせる低気圧は、いわゆる「南岸低気圧」だ。前線を伴う温帯低気圧で、日本の南海上を進み、広範囲に雨や雪をもたらす低気圧のことをそう呼んでいる。直近では、1月22日、今年はじめて関東甲信地方で雪が降った際にも、南岸低気圧が日本列島の南海上を通過していた。

南岸低気圧にともなう雲の中で雪ができる物理的な過程だけでなく、それが地上に落ちてきた時に、雪のままなのか、雨になっているか、非常に多くの要素がかかわっている。これが日本海側なら、大陸からの寒気が吹き出してきて、相対的に温かい日本海から熱と水蒸気を得て発達した積乱雲が来ると、気温が低いため問答無用で雪という状況らしいが、関東の場合、雨なのか雪なのかなかなか定まらない。けれど、雨の場合と雪の場合では、社会生活への影響はまったく違ってしまう。
予報精度を高めるためには、現象を理解しなければならず、それには従来以上の観測が必要になる。どうすればいいのか。突破口の1つが、市民が参加する「#関東雪結晶 プロジェクト」なのだった。
つづく
(このコラムは、ナショナル ジオグラフィック日本版サイトに掲載した記事を再掲載したものです)
ツイッターアカウント@arakencloudで雲の写真や情報を日々発信中。
本連載からは、ホモ・サピエンス以前のアジアの人類史に関する最新の知見をまとめた近著『我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち』(講談社ブルーバックス)をはじめ、「睡眠学」の回に書き下ろしと修正を加えてまとめた『8時間睡眠のウソ。 日本人の眠り、8つの新常識』(集英社文庫)、宇宙論研究の最前線で活躍する天文学者小松英一郎氏との共著『宇宙の始まり、そして終わり』(日経プレミアシリーズ)がスピンアウトしている。
ブログ「カワバタヒロトのブログ」。ツイッターアカウント@Rsider。有料メルマガ「「秘密基地からハッシン!」」を配信中。
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「研究室に行ってみた」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?