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相次ぐ「愛国事業」

そんなに簡単にいくでしょうか。

鈴置:放っておけば、これが「初めの一歩」になります。「韓国の『対日挑発日誌』」をご覧下さい。2018年10月以降だけでも、これだけ日本を挑発しています。ただ、それらは韓国から見れば、日本との関係を見直し、権利を拡大する「愛国事業」なのです。

 日本企業に対し、戦時中の朝鮮人労働者に慰謝料を支払えと韓国の裁判所が相次ぎ判決を出したのもそうです。日韓国交正常化の際に結んだ基本条約を否認するものです(「『言うだけ番長』文在寅の仮面を剥がせ」参照)。

 「和解・癒し財団」解散も、日本との慰安婦合意を反故にする狙いです。文在寅政権のこうした動きに対し、保守派からもさほど批判はあがらない。

 日本との関係が悪化しさらには米国との同盟が揺れると懸念する向きは一部にある。しかし敢えて約束を破り、日本を従わせる「愛国事業」である以上、保守も文句はつけにくいのです。

核武装に必須の日本海

韓国の保守系紙がレーダー事件で自らの政府を批判しないのも……。

鈴置:「愛国」の部分もあると思います。日本のEEZを韓国がコントロールできるようになれば、国益が大きく増進します。

 そもそも2020年以降、毎年1隻ずつ配備するミサイル潜水艦だって「韓国の核」の一環として保守政権が始めた事業なのです(『米韓同盟消滅』第1章第4節「『民族の核』に心躍らせる韓国人」参照)。

 文在寅政権の「南北共同の核」のための配備とは主体が異なりますが、核武装に必須の第2撃能力を持つという点では同じです。その「巣」作りには、保守だろうが左派だろうが、韓国人なら賛成しておかしくないのです。

次回に続く)

【著者最新刊】『米韓同盟消滅』

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第1章 離婚する米韓
第2章 「外交自爆」は朴槿恵政権から始まった
第3章 中二病にかかった韓国人
第4章 「妄想外交」は止まらない

2018年10月17日発売 新潮社刊