体制をひっくり返す

統合進歩党とは?

鈴置:2012年の選挙では300議席中13議席を占めた、それなりに存在感のある政党でした。この選挙でも得票率は10.3%を記録しています。既存のいわゆる「進歩的な政党」に飽き足らない人々から支持を集めていたのです。

 一方、保守は「北朝鮮の手先」として危険視していました。韓国憲政史上初めて政府が命令してこの政党を解散させたのもそのためです。解散を主導したのが当時、法務長官だった現在の黄首相です。

 同党の指導者、李石基議員(当時)も2013年9月に内乱陰謀罪や内乱扇動罪などで逮捕されました。国会は289人中258人の賛成で逮捕に同意しています。

なぜ、この政党の解散問題が蒸し返されるのですか?

鈴置:今、韓国では「朴槿恵が国を滅茶苦茶にした」ということになっています。左派はそのムードを利用して、既存の体制を一気にひっくり返そうと狙っています。

「ABP」モードに

体制をひっくり返す、ですか!

鈴置:韓国紙には「ABP(Anything but Park)」という言葉が散見されるようになりました。「朴がやったことはすべて否定する」という意味です。この際、統合進歩党の強制解散も「ひっくり返そう」と考える人が出てきたのです。

 左派系紙のハンギョレが、ロシア出身の朴露子(パク・ノジャ、Vladimir Tikhonov)オスロ国立大学教授の寄稿を載せています。「朴槿恵の最悪の犯罪」(12月4日、日本語版)です。朴露子教授の専門は韓国学です。彼の主張を要約します。

  • (朴槿恵政権の)悪行の中でも統合進歩党の法的解散とイ・ソッキ前議員らの拘束と裁判は特筆に値する。この事件により、1987年の大闘争で勝ち取られた形式的・手続き的民主主義は回復し難い傷を負った。事件以後の大韓民国を民主国家と呼ぶこと自体が無理だ。
  • 裁判で国家情報院と検察の主張の核心的部分が事実上虚偽であることが判明した。被告たちが「作った」という「革命組織」の実体がなかったことが明らかになり「内乱陰謀」という恐ろしい容疑に対しても無罪が宣告された。