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日韓関係も破壊

韓国が日本を「イライラさせる」のも……。

鈴置:米韓同盟破棄の伏線を敷いているつもりでしょう。10月30日、戦時の朝鮮人労働者に賠償するよう、韓国大法院(最高裁判所)が新日鉄住金に命じました(「新日鉄住金が敗訴、韓国で戦時中の徴用工裁判」参照)。

 日韓国交正常化の際に取り交わした請求権協定を完全に否定する判決でした。これにより日韓両国は国交の基本的あり方を確認した条約を失いました。無条約時代とも言うべき状況に突入したのです(「文在寅政権は『現状を打ち壊す』革命政府だ」)。

 11月21日には韓国政府は、従軍慰安婦問題に関する「和解・癒やし財団」――いわゆる「慰安婦財団」の解散を発表しました 。慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年末の日韓合意を踏みにじりました。

 日本を怒らせ日韓関係を破壊すれば、米韓同盟にもヒビが入ります。日本では「韓国防衛のために日本が戦争に巻き込まれる危険性を冒すべきではない」との主張が高まり、朝鮮半島有事の際の在日米軍基地の使用が難しくなるのは間違いありません。

 在韓米軍は日本という強力な兵站基地があって十分に機能します。米国はますます在韓米軍を維持する意欲を失うでしょう。

日米からのけ者にされた

 11月30日、12月1日の両日にアルゼンチンの首都、ブエノスアイレスで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議が象徴的でした。この場を利用し、各国は相次いで2国間の首脳会談を持ちました。

 最高裁判決などで無茶苦茶なことをして来る韓国に怒った日本は、いつもなら開く日韓首脳会談を実施しませんでした。

 トランプ大統領は11月30日に文在寅大統領と会いましたが、ホワイトハウスはわざわざ「会談はpull asideである」と断りました。「pull aside」とはイベント会場の片隅で実施する立ち話のような、非公式の会談を意味するのだそうです。米国は韓国をはっきりと「格下げ」して見せたのです。

 「米国と日本から見捨てられた」と、もっと大きなショックを韓国人に与えたのが、日米がインドを安全保障上のパートナーに引きこもうと開いた初の3カ国首脳会談(11月30日)でした。

 中央日報の金玄基(キム・ヒョンギ)ワシントン総局長は「『外交だけ質問せよ』は自信感、ですよね?」(12月5日、韓国語版)で以下のように書きました。

  • インドのモディ首相は「日本(Japan)、米国(America)、インド(India)の頭文字を足した「JAI」なる新語を創り出し「民主主義の価値を象徴するJAIが平和と繁栄を共に創ろう」と語った。すると安倍首相が待っていたかのように相槌を打った。「自由で開放されたインド太平洋に向けこの3カ国で進もう」。
  • 昨年7月のG20首脳会議と9月の国連総会では韓米日の3カ国首脳会談が行われた。だがそれ以降途絶えた。北朝鮮にオールインし、米中間でどちらにつこうかとうろうろする韓国は除かれ、代わりにインドが入ったのだ。