平壌を核攻撃できるか

ついに、来るところまで来ましたね。

鈴置:北朝鮮の核施設を米国が攻撃する際、まず核ミサイル基地を叩く必要があります。そうしないと米国や日本、韓国が核で反撃されるからです。

 しかし核ミサイル基地の多くは地下に隠されていて、米軍が位置を狭い範囲に特定できないこともある。その際、米軍は通常型の爆弾と比べ、広範囲の地域を破壊できる戦術核を使います。

 そもそも北朝鮮が国連決議違反の核武装に乗り出したうえ、米国や日本、韓国を先制核攻撃すると脅してきたのです(「米中は金正恩を『アジアのムガベ』にできるか」参照)。

 北が先制核攻撃されても文句は言えません。脅迫されている国にすれば、そんな危ない国を放置するわけにはいかないのです。

使うのは通常兵器と戦術核ということですか。

鈴置:戦略核も使う可能性が出てきました。北朝鮮は平壌(ピョンヤン)近郊から移動式発射台を使ってICBM(大陸間弾道弾)を撃ってみせます(「米中は金正恩を『アジアのムガベ』にできるか」参照)。8月29日と9月15日に続き、11月29日のICBMもそうでした。

 金正恩(キム・ジョンウン)委員長はトランプ大統領に「平壌市内を動き回る移動式発射台から撃つぞ。これらを攻撃するには、戦術核以上に広い範囲を破壊する戦略核を使う必要がある。すると非戦闘員に多数の死傷者が出る。その覚悟があるのか」と挑発したのです。

 米国は覚悟を固めたと見られます。平壌など都市部への攻撃をしない限り、核で反撃されるからです。トランプ大統領の「totally destroy」(完全に破壊する)も、それを意味すると思われます。

北の時間稼ぎは許さない

なぜ今、国務省が「核攻撃」を表明したのでしょうか。

鈴置:VOAの記事を読んだ日本のある専門家は「11月29日のICBM発射が米国に開戦の決心を固めさせたようだ」と語りました。

 米本土に届く核を北朝鮮が持ったか、あるいは近く持つことが確実になったからです(「じり貧の北朝鮮、『核武装の総仕上げ』急ぐ」参照)。

 アダムス報道官は「今は明らかに対話の時ではない。北朝鮮が大量破壊兵器の開発を進めるのに支払う代価を引き上げることに我々は注力すべきだ」とも語りました。原文は次です。

  • now is clearly not the time for talks. We must remain focused on increasing the costs for Pyongyang to continue to advance its WMD programs.

 北朝鮮は突然「平和愛好国家」を自称し始めました。「世界の平和と安定のためあらゆる努力をする」とも言い出しました(「高笑いする金正恩、挙動不審の文在寅」参照)。12月5日には国連事務次長も呼び付けるなど「対話攻勢」に転じました。

 米国の攻撃を阻止して時を稼ぎ、核保有国の地位を既得権化する作戦です。日本語のネット空間に「北朝鮮は放置しておけばいい。それが平和への道だ」といった主張が流れるのも、その一環でしょう。

 アダムス報道官は――米政府は、北朝鮮の平和攻勢に騙されて対話などしない、と突っぱねたのです。