トランプ大統領の訪韓時、異例の“緩い規制”の下で反米デモが展開された(写真:AFP/アフロ)

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 韓国は米国との同盟を続けるのか、核を持った北朝鮮と手を組むのか――。

米本土を核攻撃できる

鈴置:北朝鮮は11月29日未明、新型ICBM(大陸間弾道弾)の「火星15」型を試射しました(「じり貧の北朝鮮、『核武装の総仕上げ』急ぐ」参照)。

 朝鮮通信(東京)が「大陸間弾道ロケット(ミサイル)『火星15』型試験発射成功――朝鮮政府声明」(11月29日、韓国語版)で以下のように伝えました。

  • 金正恩(キム・ジョンウン)同志は新型の大陸間弾道ロケット「火星15」型の成功的な発射を見守りながら、ついに国家核武力(戦力)完成の歴史的大業、ロケット強国の偉業が実現したと誇り高らかに宣布された。

核保有国になったぞ、と肩をそびやかしたのですね。

鈴置:その通りです。11月29日は高角度で打ち上げるロフテッド軌道で発射しました。高度は4000キロメートル以上に達し、水平距離では約950キロ飛びました。これから推計すると「火星15」は1万3000キロの射程を持ち、米全土をカバーできます。

 ただ、今回の試射で弾頭部は空(から)だったか、実戦に使用する核弾頭よりも軽かった可能性があります。そうなら北朝鮮が米本土を核の射程に入れたとは言い切れません。大気圏に再突入した際の熱に耐えられる核弾頭の開発に成功したかも不明です。

 米国の北朝鮮研究機関「38North」は「North Korea’s Third ICBM Launch」(11月29日)で「米国の西海岸まで届く実用可能なミサイルを北朝鮮が開発するには後、1年はかかる」と評価しました。

 ところが1日後の「The New Hwasong-15 ICBM: A significant Improvement That May be ready as early as 2018」(11月30日)では「低信頼度のミサイルでいいのなら、今後4-6カ月の間に2-3回の発射試験をすることで、金正恩は『火星15』を実戦配備できる」と修正しました。米国の評価も揺れているのです。

臨検に動く米国

米国はどう対応するのですか?

鈴置:北朝鮮への圧迫をさらに強めています。今回のICBMの評価はどうであれ、北朝鮮が核ミサイル開発に邁進し、それが着実に進展しているのは確かだからです。

 11月29日、国連安保理で米国のヘイリー(Nikki Haley)大使は「昨日起きたこと(ICBM発射)のような攻撃的な姿勢を北朝鮮が続けるなら戦争になる」「戦争になれば北朝鮮は完全に破壊される」と警告しました。原文は以下です。

  • If war does come, it will be because of continued acts of aggression like we witnessed yesterday. And if war comes, make no mistake, the North Korean regime will be utterly destroyed.

 自由アジア放送(RFA)が「米、安保理緊急協議で中国には原油供給中断を要求……戦争になれば北朝鮮を完全に破壊」(11月29日、韓国語版・一部は英語)で伝えました。

 ヘイリー大使はトランプ大統領が習近平主席に電話し、北朝鮮への石油禁輸を求めたことも明かしました。しかし、中国は安保理でこれを拒否しました。

 それに先立ち、ICBM発射直後にティラーソン(Rex Tillerson)国務長官は北朝鮮を行き来する船舶への臨検実施を示唆しました。国務省の発表によると以下です。

  • In addition to implementing all existing UN sanctions, the international community must take additional measures to enhance maritime security, including the right to interdict maritime traffic transporting goods to and from the D.P.R.K.