空母の次は空軍大演習

 北朝鮮が核武装を急ぐのは、核を持ってこそ金正恩体制を維持できるとの判断からだ。

 米国は軍事的な圧迫を強める一方だ。今年10―11月、空母3隻を日本海に展開した。12月4―8日には空軍を中心とした大規模の演習「ビジラント・エース 18」(VIGILANT ACE 18)を朝鮮半島で繰り広げる予定だ。米第7空軍が11月25日に発表した。

 米軍が大演習を実施する度に北朝鮮は弾道弾に燃料を注入し、反撃体制に入る。北朝鮮の弾道弾の多くが液体燃料式で「1週間以上、燃料を入れておくとタンクが腐食する」と言う専門家が多い。米軍の圧迫が続くほどに、北朝鮮の反撃能力は低下する。

 経済面も同様だ。中国も米国に押され、国連が定めた北朝鮮への経済制裁に本腰を入れ始めた。中国が制裁を守らなければ、今度は中国の金融機関や企業が米国の制裁対象となるからだ(「金正恩をコーナーに追い詰めたトランプ」参照)。

 北朝鮮の石油・同製品の輸入は制限され、時間が経つに連れ経済活動に支障が広がるのは確実だ。石炭や水産物や繊維製品など主要品目の輸出も禁止されたため、外貨獲得も困難になる一方だ。

 北朝鮮が軍事・経済面での「じり貧」を打開するには、一刻も核保有を世界に認めさせ、軍事的な圧迫と経済制裁を取り除くほかはない。

クリスマスで韓国を離れる米市民

 一方、米国は北朝鮮の核武装を絶対に認めない姿勢を鮮明にしている(「第2次朝鮮戦争か、金正恩体制崩壊か」参照)。

 先制攻撃して核施設を破壊するか、あるいはクーデターで金正恩体制そのものを倒すか、北朝鮮には両にらみで挑む。

 その米国も時間がない。このまま放置すれば、北朝鮮が米国まで届く核とミサイルを持つ核保有国になってしまうからだ。

 北朝鮮は発射に時間がかかり、攻撃されやすい液体燃料式の弱点を補強するために、固体燃料式の弾道弾の配備も進めている。

 米国と北朝鮮の双方に時間がなくなった今、激突の可能性が増した。関係者によると米国は、11月中旬までに太平洋に米空母5隻を展開させ、いつでも先制攻撃できる体制を整えた。

 「ビジラント・エース 18」も訓練から直ちに実戦に切り替えることが可能だ。北朝鮮の地下の核ミサイル基地を叩くには、赤外線センサーで場所を特定する。それは地表の温度が下がる真冬が最も容易とされる。

 12月に入れば、米国の非戦闘員もクリスマス休暇で韓国を離れることになる。米国にとって、これから「戦争を最もやりやすいシーズン」に入るのだ。

次回に続く)

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孤立する韓国、「核武装」に走る

■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ

北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。

もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。

目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。

◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』 に続く待望のシリーズ第9弾。2016年10月25日発行。

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