中国軍が平壌進撃

ニュースですね。

鈴置:多くの専門家が「金正恩政権崩壊後の朝鮮半島の安保の枠組み」について、米中が話し合っているだろうと想像していました(「第2次朝鮮戦争か、金正恩体制崩壊か」参照)。

 米中首脳会談(11月9日)のすぐ後にこの記事が載ったので、専門家はますます疑いを深めました。北朝鮮の外交関係者は、絶望的な気分でこの記事を読んだと思います。

 すでに中国の学者は「中国軍の北朝鮮侵攻で政権交代を実現すべきだ」との過激な意見を公開の席上、語っています(「米中が朝鮮半島で談合する時」参照)。

 「米中は崩壊後を話し合うべきだ」程度の“穏健な主張”は中国では普通になりました。最近では11月16日、ソウルで開いたシンポジウムで同済大学の政治・国際関係学院の夏立平院長が主張しました。

 東亜日報の「中国学者『中国は躊躇せず、韓米と北の急変事態を論議すべきだ』」(11月21日、韓国語版)から引用します。

  • 夏立平院長は「2017北東アジア協力フォーラム」で中韓米3カ国の「緊急計画対話」を提案した。議題として「北朝鮮の体制崩壊時、誰が核兵器を制御するのか」「北朝鮮からの難民問題をどう処理するか」「北朝鮮の秩序回復は誰が責任を負うのか」「危機後の朝鮮半島の政治の枠組みをどう整理すべきか」を提示した。

金日成から学んだムガベ

確かに、北朝鮮にとっては不気味な記事が続きますね。

鈴置:記事だけではありません。ジンバブエのムガベ政権の崩壊という「現実」に、金正恩委員長は青ざめているでしょう。

ジンバブエですか?

鈴置:ムガベ大統領は北朝鮮と深い関係を持ち、独裁の手法も故・金日成(キム・イルソン)主席を見ならったとされています。

 韓国保守派の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が、自身が主宰するサイトに「金日成から学んで国を滅ぼしたムガベの失脚、金正恩に衝撃を与えていることだろう」という記事を載せています。以下、要約します。

  • アフリカで最も生活水準が高いとされたローデシア(現・ジンバブエ)を37年間で台なしにした独裁者、ムガベが事実上の軍事クーデターで失脚した。
  • 一時はまともな指導者と評されたムガベは1980年に金日成と会って、人が変わった。崇拝の対象となっているのを見て羨ましかったのだろう。
  • (北朝鮮の)主体思想を利用した鉄拳政治を導入し、ムガベは「アフリカの金日成」と呼ばれるようになった。独裁者は自分よりも強力な独裁者に会うと羨望し、真似をする。チャウシェスクとムガベは金日成の弟子だったのだ。

 チャウシェスクとは1989年に処刑されたルーマニアの独裁者のことです。金日成主席と関係が深く、冷戦当時、ルーマニアは北朝鮮と並び東側の中でも強権ぶりで悪名をはせていました。

 北からの亡命者によると、チャウシェスク政権が崩壊した時、金日成政権は深い衝撃を受けたそうです。当然のことですが。