出国禁止にせよ

 メディアが空気を盛り上げる中、野党は弾劾に乗り出しました。11月21日午後、第1野党の「共に民主党」は議員総会を開き、朴大統領の弾劾手続きを進めることを決めました。

 同党の秋美愛(チュ・ミエ)代表はそれに先立つ同日午前「弾劾の時期と進め方に関し早急に検討し、弾劾推進を検討する組織を設置したい」と述べました。

 聯合ニュースはこれを報じた「弾劾の刀を抜いた野党…民主『弾劾機構設置』、国民『弾劾は党論』」(11月21日、韓国語版)で比較的、弾劾に慎重だった「共に民主党」が動き出したのは「朴大統領の反攻が露骨になったため、国会が力を発揮するしかないと判断したため」と解説しています。

 この記事は、第2野党の「国民の党」も同じ日に「弾劾推進を正式な党の主張に定めた」と報じました。同党の院内スポークスマンは「検察に対し、朴大統領に対する出国禁止措置・押収など強制捜査を求める」と語っています。

引きずり降ろすには……

朴大統領は弾劾されるのですか?

鈴置:その可能性が強まりました。韓国政界では朴大統領の処遇を巡り、4つの案が検討されてきました。表をご覧下さい。①②③はいずれも大統領に何らかの譲歩を迫るものです。

●4つの「朴大統領処遇案」
①権限の削減 外交・安保だけは任せる仏型と、象徴大統領の2案
②即時下野 60日以内に選挙。その間、現首相が大統領権限代行に
③秩序ある退陣 2017年4月の大統領選挙を想定。改憲を絡める案も浮上
④弾劾 国会で弾劾訴追を決議、180日以内に憲法裁判所が可否判断

 しかし朴大統領は野党やメディアの批判に敢然と反撃し始めました。「検察の聴取に応じない」と言い出しただけではありません。

 11月21日、青瓦台のスポークスマンは「朴大統領に退陣する意思は全くない」ことを示唆しました。②の「即時下野」と③の「秩序ある退陣」を拒否したのです。

 聯合ニュースの「青瓦台、退陣前提の国会による首相推薦はNO…『黄首相ジレンマ』で野党を圧迫」(11月21日、韓国語版)が伝えています。

 大統領は16、17日に政府高官を新たに任命しました。青瓦台は11月18日に「東京での韓中日首脳会談の日程が決まれば朴大統領は参加する」と発表しています。

 これにより①の「権限の削減」に関しても、大統領は少なくとも現段階では拒否したと受け止められました。となると、大統領を権力の座から引きずり降ろすには④の「弾劾」しか手がないのです。

 議院内閣制の国で首相に不信が高まれば、国会で内閣不信任を決議するのが普通です。首相は内閣総辞職か、議会を解散して民意を問います。しかし韓国は大統領制ですから大統領を辞めさせる法的手段は、弾劾するしかありません。