朴槿恵大統領は「弾劾訴追」の逆風を、反撃の狼煙に変えようとしている(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

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 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が弾劾される可能性が強まった。検察が「国政壟断事件の共犯」と発表したからだ。退陣を求める「100万人デモ」に追い打ちをかけた。混迷する韓国には出口が見えない。

「本当は主犯だ」

韓国の検察が朴槿恵大統領を立件しました。

鈴置:ソウル中央地検は11月20日の日曜日に、朴大統領の友人の崔順実(チェ・スンシル)氏や前政府高官ら3人を起訴しました。

 検察は記者会見で「ほぼすべての容疑で朴大統領も共謀関係にある」と発表したのです。容疑者として朴大統領の捜査を続けるとも言明しました。

 ただ、在任中の大統領は「内乱罪」か「外患罪」でない限り、刑事訴追されません。朴大統領は起訴されていないので、メディアは「立件」と表現しているのです。

 現役大統領が立件され被疑者となるのは初めてです。韓国の歴代大統領10人の末期はすべて悲惨でした。朴大統領も例外とはなりませんでした。

 崔順実氏と政府高官の1人は、財閥に対し崔氏が実質的に支配するスポーツや文化振興の2財団へ資金拠出を求めたことが、職権乱用や強要などの罪に問われました。

 もう1人の高官は、外交政策や政府人事に関する公文書を崔順実氏に提供したことで、公務上秘密漏洩の罪を適用されました。

 起訴状は「朴大統領が崔氏らに指示した」と繰り返し指摘しました。韓国各紙は一斉に「実質的には朴大統領が主犯だ」と書いています。

居直った大統領

大統領は反撃に出たとのことですが。

鈴置:朴大統領の弁護士と青瓦台(大統領府)は11月20日「検察の起訴状は想像と推測を重ねて作り上げた砂上の楼閣だ」と容疑を全面否定しました。

 検察による大統領への事情聴取にも「一切応じない」と弁護士は語りました。20日から始まる週に受ける方向だったのですが、「共犯者」として立件されたのに反発したのでしょう。要は、朴大統領は容疑をすべて否認し、正面突破作戦に出たのです。

国民は?

鈴置:多くの人が「大統領が居直った」と受け止めたようです。新聞の社説は保守、左派を問わず非難一色でした。11月21日付(紙ベース)の各紙の社説の見出しを並べます。いずれも韓国語です。

 そして韓国紙は「大統領を弾劾しよう」と口をそろえて呼び掛けました。以下は各紙の社説の見出しです。