カブスだって逆転優勝

本当に戒厳令まで行くのでしょうか。

鈴置:それは分かりません。もう一度言うと、ヴァンダービルド氏も「準備すべきだ」と言っているだけです。

 この人も、戒厳令を布くような状態になると考えているというよりも、そんな状態になるのが保守政権の最後の生き残りのチャンス、と考えている感じです。

 なぜなら「戒厳令」の記事と同じ11月5日に、朴大統領に対し「堂々と左派に立ち向かえ」と求める「大統領が国を売ったというのか? なぜ、下野しろと騒ぐのか」(韓国語)を書きました。その最後の1文が以下なのです。

  • この世界は様々の逆転勝ちの記録に溢れている。シカゴ・カブスは1勝3敗の崖っ縁の危機から3連勝し、劇的にワールドシリーズに逆転優勝した。こんなことはスポーツだけに起きるのではない。そして韓国に起こらないという法は絶対にない。

 ヴァンダービルド氏も、朴大統領が何とか政権を維持できるのはシカゴ・カブスの逆転優勝並みの確率と見ているのでしょう。

計り知れない大統領の心

 左派もこのまま行けば朴政権は自滅すると考えています。これも先ほども言いましたように、左派としては戒厳令などを引き起こす過激なデモは、今のところは避けた方が得策なのです。

 左派の作戦は、とにかくデモの参加人数を増やして大統領への圧力を高める。そのためにも検察のお尻を叩いて「朴槿恵の悪行」を暴かせる。それを左派系メディアが煽れるだけ煽る――だと思います。

結局、今現在は戒厳令の可能性は低いということですね。

鈴置:その通りです。ただ注目すべきは、朴槿恵大統領には相談する相手がもういないことです。孤独な大統領がどんな判断を下すかは予測不能なのです。

(次回に続く)

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孤立する韓国、「核武装」に走る

■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ

北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。

もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。

目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。

◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』 に続く待望のシリーズ第9弾。10月25日発行。