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米軍機関紙も「不仲」

でも、こんなことを続けていれば、韓国は北朝鮮の使い走りと世界中から見切られてしまいます。

鈴置:その通りです。9月18日の南北首脳会談で米国に断りなく飛行禁止区域を定めたため、米国は烈火のごとく怒りました。米軍機関紙の星条旗紙は「Rare public discord between US, S. Korea raises concern about rift」(10月14日)との見出しで、はっきりと「米韓の不仲が表面化」と書きました。

 9月下旬の国連総会への出席を期に、文在寅大統領は米国で「金正恩の首席報道官」と見なされるようになりました(「『北朝鮮の使い走り』と米国で見切られた文在寅」参照)。

 さらに10月10日、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が北朝鮮への制裁解除方針を打ち出したため、米韓関係は完全におかしくなってしまいました(「『言うことを聞け』と文在寅を叱ったトランプ」参照)。

 そして今や、欧州を抱き込んでの米国孤立作戦。文在寅政権の暴走は止まりません。もう確信犯です。「北朝鮮と手を組んでどこが悪いか」と本性を現わしたのです。

 韓国の保守派の中には「そのうちに『北が核武装してどこが悪い』と文在寅政権が言い出すのではないか」とハラハラして見ている人もいます。

予想外に厳しい経済難?

異様ですね。

鈴置:北朝鮮の経済難が外から見ていた以上に深刻で、今年の冬を越せないからではないか、との見方が急浮上しています。

 2017年10月以降にさらに厳しくなった国連による経済制裁の効果が出て、食糧、エネルギー、外貨の不足に北は悩んでいる。下手すると体制を揺るがす騒動が起きかねない。

 そこでなりふり構わず韓国に制裁解除の旗を振らせている、との見方です。もう先がない以上、今、韓国を使い殺しても仕方ない、と判断したのかもしれません。

次回に続く)

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第2章 「外交自爆」は朴槿恵政権から始まった
第3章 中二病にかかった韓国人
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