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北と組んでどこが悪い

韓国の外相は北朝鮮のセールスマンになったのですね。

鈴置:それも子供だましの理屈を操る3流のセールスマンです。文在寅大統領も珍妙な理屈をこねて「金正恩の首席広報官」と米メディアに揶揄されましたが(「『北朝鮮の使い走り』と米国で見切られた文在寅」)参照)。

 それに関連、朝鮮日報の楊相勲(ヤン・サンフン)主筆が興味深い指摘をしています。「大統領が北朝鮮の報道官なら、韓国の報道官は誰なのか」(10月4日、韓国語版)から引用します。

  • ブルームバーグ(Bloomberg)が文在寅大統領を「北朝鮮の首席報道官」と報じたのに対し、青瓦台(大統領府)から反発する声明が出るかと思ったが、結局出なかった。
  • 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領はこうした報道に強く反発していた。今や文在寅政権は、国際社会で韓国の大統領が北朝鮮と金正恩委員長の立場を代弁したと見られても「それのどこが問題か」と言うほどの自信感を持ったということかもしれない。

 長官だけではなく、大統領も堂々と「米国ではなく、北朝鮮側に立つのが当然」と表明するに至ったのです。

冬を迎え経済難が深刻化

なにが、この政権にそうさせたのでしょうか。

鈴置:まずは国民の支持を得ているとの自信です。南北首脳会談をするたびに国政への支持率は急上昇しました。もう1つは、北朝鮮からの指示でしょう。

 2017年に制裁を強化して以降、北朝鮮の食糧、エネルギー、外貨の不足は日増しに厳しくなっています。厳しい冬を目前に、北としてはなんとしても制裁を緩めさせたい。

 そこで韓国になりふり構わず――使い走りと言われようが、スポークスマンと言われようが――米国や国際社会を騙すよう命じていると思われます。

次回に続く)

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第2章 「外交自爆」は朴槿恵政権から始まった
第3章 中二病にかかった韓国人
第4章 「妄想外交」は止まらない

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