弱腰の記者を叱る

ちゃんと「伏線」が敷いてあるのですね。

鈴置:2015年には「中国は1949年の建国当時から100年かけて米国を打倒し世界を支配する計画を立てていた」と警告する本が米国で出版されています。これも「米国は中国をいたぶり続ける」で紹介済みです。

 『The Hundred- Year Marathon』で、書いたのは中国専門家のピルズベリー(Michael Pillsbury)氏。『China 2049』というタイトルで邦訳も出ています。

 CIAの職員だった同氏は親中派から転向。この本では、米国の中国研究者の多くが中国共産党の思いのままに動かされていると暴露しました。米国の親中派は動きが取れなくなっていると思われます。

 ちなみに著者のピルズベリー氏は、ペンス副大統領が演説したハドソン研究所のシニア・フェロー兼中国戦略センター所長です。

 副大統領は演説で「ジャーナリストは中国を恐れるな。中国がいかに米国社会を操っているか報じよ」「研究者は学問の自由を守れ。中国のカネに踊らされるな」と呼び掛けています。以下です。

・It’s also great to see more journalists reporting the truth without fear or favor, digging deep to find where China is interfering in our society, and why.

・More scholars are also speaking out forcefully and defending academic freedom, and more universities and think tanks are mustering the courage to turn away Beijing’s easy money, recognizing that every dollar comes with a corresponding demand.

 ここまで言われて「トランプの反中政策はおかしい」と声を上げるメディアや研究者は少ないでしょう。

NYT「新たな冷戦」

「反トランプ」の先頭に立つNYTは?

鈴置:ペンス演説に関しては「反トランプ」の声をあげていません。社説でも、この問題を「パス」しています。

 NYTはこの演説に対する中国の反論を「Pence’s China Speech Seen as Portent of ‘New Cold War’」(10月5日)で報じました。

 ペンス演説の細かな点については「反論の余地があるかもしれない」と書いたものの、大筋では「米中冷戦が始まった」と客観的な状況認識を示しました。

 中国専門家の言葉を引用し「ペンス演説は新たな冷戦を宣言したのも同然だ」と評したのです。2005年に当時の国務次官が「responsible stakeholder」と呼ぶなど米国は、中国を世界の問題を手を携えて解決していくパートナーと見なしてきたのですが。

・it was unmistakably clear that the era of Washington holding out a hand to Beijing to become a “responsible stakeholder” in world affairs alongside the United States ─ a phrase used in 2005 by Robert B. Zoellick, then the deputy secretary of state ─ was over.

・“This will look like the declaration of a new Cold War, and what China may do is more important than what it will say about Pence’s speech,” said Zhang Baohui, professor of international relations at Lingnan University in Hong Kong.