米国世論も操る

 そして決め手が「罪状④米国への介入」です。米国の世論さえも中国に操られているのだ。裏庭どころではない。土足で家の中にまで踏み込まれているのだ、と警告を発したのです。これは効くでしょう。

★中国の「罪状」④米国への介入★

  • 米国の産業界、映画界、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト、地方政府と連邦政府に中国共産党の影響が及んでいる。
  • 中国共産党は米国の世論への工作も進めており、2018年の中間選挙、2020年の大統領選挙の環境も変えようとしている。中国はトランプ大統領以外の大統領を望んでいる。
  • 6月に中国は「宣伝と検閲に関する通知」という文書を回覧した。これは「中国は正確に注意深く、米国世論を分裂させねばならない」と指示している。
  • 中国は米国の有力企業に対し、米政府の政策に反対しないと事業免許を取り消すと脅した。
  • 中国が米国に課した関税は、中間選挙の動向を左右する産業と州を狙い撃ちにしている。
  • 米国の駐中大使の地元であり、2018年と2020年の選挙でカギを握る地域の新聞に先週、中国政府は記事体の冊子を挟み込ませた。それらは米国の通商政策が不注意で有害なものだと主張した。
  • 米国の在中合弁企業が社内に共産党組織を作るよう求められている。
  • 「台湾は中国の1省」と呼ばなかったデルタ航空に、中国政府は謝罪させた。マリオット(ホテル)はチベットに関しツイートした米国人社員を辞めさせるよう強要された。
  • 映画「ワールド・ウォーZ」はウィルスの発生源が中国とのくだりをカットさせられた。「レッド・ドーン」は悪役が中国ではなく、北朝鮮であるとデジタル処理で編集された。
  • 中国共産党は米国と世界で数10億ドルの宣伝費用を使っている。
  • 中国国際放送局は親中的な番組を米国の主な都市の30以上の局で流している。CGTN(中国国際電視台)は7500万人の米国人が視聴している。
  • 米法務省は先週、この放送局に外国の(メディアではなく)政府組織としての資格を得るよう命じた。
  • 中国共産党は米国メディアのサイトの閲覧を妨害し、米国人記者のビザ取得に障壁を設けている。
  • 全米の150の大学に支部を持ち、43万人以上の中国人の学生と学者で構成する団体が存在する。中国人学生や米国人研究者が中国共産党の定めた枠を外れた場合、中国の大使館や領事館に知らせている。
  • メリーランド大学の卒業式で米国での「言論の自由を支える新鮮な空気」に言及した中国人学生は、中国共産党の新聞から批判され、家族もいじめられた。
  • 中国は大学、シンクタンク、研究者に豊富な資金を提供し、中国共産党が危険であり攻撃的であるとの考え方を彼らに持たせないよう努めている。中国専門家は、彼らの研究が中国政府の気にいらないものである場合、ビザが遅れるか出ないことをことによく知っている。
  • 中国からの資金提供を断る研究者やグループでさえ、中国の標的となる。ハドソン研究所も中国が好まない講演を企画した際、上海からサイバー攻撃を受けた。

中国のカネ漬けの研究者

そして……。

鈴置:邪悪な中国に立ち向かおう、と国民に訴えたのです。原文は以下です。

・our message to China’s rulers is this: This President will not back down. (Applause.) The American people will not be swayed.

 この辺りから「トランプ大統領の下に団結し、中国と戦おう」とのニュアンスが濃くなってくるのです。

中間選挙対策の演説だ、といった批判は出ないのでしょうか。

鈴置:それに対しては「罪状④米国への介入」が効果を発揮します。ペンス副大統領は以下のように指摘しました。

  • 米国の産業界、映画界、大学、シンクタンク、研究者、ジャーナリスト、地方政府と連邦政府に中国共産党の影響が及んでいる。
  • 中国は大学、シンクタンク、研究者に豊富な資金を提供し、中国共産党が危険であり攻撃的であるとの考え方を彼らに持たせないよう努めている。

 もし、研究者や記者が「トランプの反中政策」を批判しようものなら、普通の米国人は「やはり彼らは中国からおカネを貰っているのだ」と見なすでしょう。

 8月24日には米議会の米中経済安全保障問題検討委員会が有力シンクタンクや大学に中国が資金を提供し、影響力の行使を図っているとの報告書を発表したばかりです(「米国は中国をいたぶり続ける」参照)。

 『China’s Overseas United Front Work』です。産経新聞の「『中国共産党が米シンクタンクに資金提供』 米議会委が報告書発表」(8月26日)が内容を報じています。