韓国はMDには参加できない

 具体的な懸念がある。北朝鮮が核兵器を「見せ金」にして通常戦力を行使するとのシナリオだ。

 北が通常戦力だけで韓国を奇襲攻撃し、ソウルまで占領する。米韓連合軍が反撃に出ようとした際に北朝鮮が「核を使うぞ」と脅したら、米国は核戦争に巻き込まれることを嫌がり、休戦に応じるかもしれない。韓国は首都であり、経済力の過半を占めるソウルを奪われてしまう――との悪夢である。

 米国も韓国人のこの悪夢を十分に承知している。4回目の核実験後、すぐにでも韓国に対する核の傘の保証を改めて宣言するであろう。ただ、韓国人がそれに納得するかは分からない。

 日本は米国の核の傘に加え米国と共同で、ミサイルを撃ち落とす仕組み、ミサイル防衛(MD)システムを構築中だ。これらにより中国や北朝鮮の核に対抗する。

 米国は韓国に対しても、米主導のMDシステムに参加するよう呼びかけてきた。しかし韓国はそれが「中国包囲網」の一環となることから、中国に遠慮し参加を断ってきた。

 MDの一部である終末高高度防衛ミサイル(THAAD)を、米国が在韓米軍に配備をしようとしたら、韓国はそれさえも拒否した。習近平主席が朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に直接「反対せよ」と申し渡しているためだ。

米国も韓国の核を許す

 韓国では、自分たちも核を持ってしまえば、米国もそれを認めるだろうとの本音が今後、公然と語られるかもしれない。また、今すぐに核は持たなくとも「核選択権」くらいは直ちに宣言すべきだとの世論が盛り上がり、政権をつき動かす可能性が高い。

 カーター(James Earl "Jimmy" Carter, Jr.)政権(1977-1981年)時代に大統領国家安全保障担当補佐官を務めたブレジンスキー(Zbigniew Kazimierz Brzeziński)氏が、2012年に「Strategic Vision: America and the Crisis of Global Power」を書いた。

 この本の114ページでブレジンスキー氏は「米国の力が弱まると、その核の傘の信頼性が落ちる。すると韓国や台湾、日本、トルコ、ひいてはイスラエルでさえ新たな核の傘を求めるか、自前の核武装を迫られる」と指摘している。

 安全保障の専門家として名高いブレジンスキー氏が、韓国の核武装を自然な流れと認識したうえで、食い止めるべき対象とは書かなかったのである。

 そしてこの本を、当時の韓国各紙は一斉に社説で取り上げている(「『中国に屈従か、核武装か』と韓国紙社説は問うた」参照)。

 韓国の核武装の可能性は、日本人が考える以上に高い。被爆国、日本とは大いに異なり、韓国人には核兵器への忌避感が薄いからだ。

 世論調査では3分の2の韓国人が核武装に賛成する。3回目の核実験(2013年2月12日)の直後、韓国ギャラップと、峨山政策研究院が国民に聞いている。

 核武装に賛成した人はそれぞれ64%と66.5%に上った(「今度こそ本気の韓国の『核武装論』」参照)。