ロシアこそが友邦

結局、北朝鮮の非核化は可能なのでしょうか。

鈴置:「表・北朝鮮の非核化の行方」で言えば当分、シナリオⅢとⅣの間で引き合いが続くと思います。米国はⅢをおとしどころと考えている。しかし北朝鮮は、自前の核の傘を維持するⅣに持って行きたい。

真田:最悪の場合――北朝鮮にとってですが、核を手放すと国際金融界は見ています。軍事力で脅されたら、核弾頭も核施設も放棄せざるを得ないからです。

 ただその時も核開発に携わった北朝鮮人の技術者は温存する。いざとなれば北朝鮮独自で核開発を再開できるようにしておくわけです。

鈴置:潜在的な核保有国ではあり続ける作戦ですね、日本と同様に。でも、とりあえずは核を持たないわけですからその時、北朝鮮は誰の核の傘に入るのでしょう?

真田:ロシアです。「表・北朝鮮の非核化の行方」のシナリオⅠでは「中国の核の傘を確保」とありますが、私はロシアだと見ています。北朝鮮は中国を一切、信用していません。中国も北朝鮮を信用していません。

●北朝鮮の非核化の行方
シナリオ 北朝鮮は誰の核の傘に入るのか? 韓国はどうする?
中国の核の傘を確保 米韓同盟を維持
米国と同盟・準同盟関係に入る 米韓同盟を維持
半島全体が中立化し、国連や周辺大国がそれを保証
自前の核を持つ 北朝鮮の核の傘に入る

鈴置:中国は金正恩(キム・ジョンウン)委員長の異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏を温存していました。

 いざとなれば、金正恩委員長の「差し替え」にするつもりだった。だから北朝鮮は正男氏を暗殺したのでしょう(「弾道弾と暗殺で一気に進む『北爆時計』の針」参照)。

真田:そもそも北朝鮮という国を作ったのはソ連です。初代の金日成(キム・イルソン)主席はソ連軍の将校出身です。いまだにロシアと北朝鮮の軍の関係は深い。

関係が悪いから会談する

金正恩委員長は年中、習近平主席と会談しています。

真田:関係が悪いから直接会わねばならないのです。一方、プーチン大統領とは電話で話すだけでコミュニケーションがとれる。それほど深い仲なのです。

鈴置:9月18日から2泊3日で文在寅大統領が平壌を訪問し、金正恩委員長と会談します。年内に米朝首脳会談が開かれるとの観測も浮かんでいます。

真田:これから朝鮮半島情勢が大きく動くかもしれません。予想外の展開もありえます。日本は目を凝らす必要があります。

次回に続く)

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孤立する韓国、「核武装」に走る

■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ

北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。

もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。

目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。

◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録